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【アシックス】総合スポーツ用品メーカーが強化するデジタル戦略

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※画像はイメージです

スウェーデンのホグロフスABと米国Fitness Keeper社の買収

 周辺事業のM&Aでは、アウトドア用品事業を営むスウェーデンのホグロフスAB(ホグロフスホールディングス)の買収と、米国Fitness Keeper社の買収がある。

 2015年12月31日付でアシックスコリアコーポレーションは、ホグロフスコリアコーポレーションを吸収合併し、 2016年1月1日付でアシックスジャパン株式会社は、ホグロフスジャパン株式会社を吸収合併した。この組織変更に伴い、「日本地域」および「東アジア地域」は、ホグロフスブランドのアウトドア用品をホグロフスABより購入し、それぞれの地域で販売している。

 アウトドアはアスレチックスポーツ事業領域から健康快適事業領域、さらにスポーツライフスタイル事業領域まで、アシックスのグループ事業領域すべてにまたがるカテゴリーである。アシックスがアウトドア用品を扱う会社のM&Aをすすめた背景には、本格的なアウトドアへ参加するユーザーの拡大だけでなく、アウトドアを通じた健康維持に対するニーズの高まり、また、ファッションとしてのアウトドア商品の需要拡大があるとの狙いだった。

 2つ目の2016年の米国Fitness Keeper社の買収の背景には、ここ1年ほどでメーカーによるフィットネス系アプリの買収がすすんでいることがある。

 スマートフォンの普及と活動量計機能をもつウェラブルデバイスの広がりを受け、人気の高いフィットネスアプリは数千万人単位の会員をもつ。こうしたアプリの利用者は、スポーツ用品の利用者でもあることから、今後のサービス開発や製品開発において相乗効果が発揮しやすい。

 アシックスが約102億円で買収した「Run Keeper」は、全世界で約3,300万人の会員数を誇る。iOSやAndroidなどのスマートフォン向けに、運動中の走行距離・ペースの通知や運動記録の管理・分析機能などを提供するランニング管理アプリとして高い支持を集めている。アシックスも自前では「MY ASICS ランニング トレーニング」を開発しているが、今後はRun keeperとの融合を進めていくものと考えられる。 

 同様のケースは、アディダスグループが、2015年8月に「runtastic」を提供するruntasticを約2億2,000万ユーロ(約280億円)で買収している。また、2015年2月には米国のアンダーアーマーが、摂取カロリーの管理に便利な栄養成分のデータベースを持つ「My Fitness Pal」と、約8,000万人の会員を擁するフィットネスアプリ「Endomondo」を傘下に収めている。

 ナイキは自前でスマートフォン対応の活動量計やスマートフォン対応のランニングアプリを提供しており、今後も大手スポーツ用品メーカーと人気のフィットネスアプリとの合従連衡が続きそうである。

 【財務分析】堅調に推移するものの、為替の影響を大きく受ける

  下図に見るように、2016連結会計年度における売上高は399,107百万円(前年比△6.9%)となった。

 地域別の売上をみていこう(下図)。このうち国内売上高では、スポーツウェアが低調であったものの、ランニングシューズ、オニツカタイガーシューズおよびアシックスタイガーシューズなどが好調に推移したため、101,560百万円(前年比0.3%増)となった。

 海外売上高は、ランニングシューズについては、東アジア地域およびオセアニア/東南・南アジア地域で好調に推移したほか、欧州地域についても堅調だった。オニツカタイガーシューズについても東アジア地域を中心に堅調だった。

 また、アシックスタイガーシューズについては欧州地域を中心に好調だった。しかし、米国が低調であったこと、大幅な円高の影響などにより、297,546百万円(前年比△9.1%)だった。 売上総利益は為替換算レートの影響などもあり176,543百万円(前年比△3.1%)、販売費及び一般管理費は、広告宣伝費の減少および為替換算レートの影響などにより、151,070百万円(前年比△2.3%)となった。

 その結果、営業利益は25,472百万円(前年比△7.2%)となったが、経常利益については為替差損の減少などにより23,408百万円(前年比3.9%増)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期間に国内事業の構造改革のための一時的な損失を計上したことなどにより、15,566百万円(前年比52.1%増)となった。

 総じてエリア別にみると、米州地域以外では堅調な業績だったといえる。欧州地域においては売上高が前年比9%減ったものの、為替換算レートの適用により19.2%増えた値となった。

 一方で、米州地域では為替レートの変動に加え、小売市場の変化、競争の激化も影響している。

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