トップ > 調べる・学ぶ > 業界・企業研究 > M&Aアーカイブス >【ヤマエグループホールディングス】2倍のM&A資金で急成長目指す

【ヤマエグループホールディングス】2倍のM&A資金で急成長目指す

alt
2022年に傘下に収めたピザハット(東京・神田)

早くも4分の1を投入

直近のM&A案件は2023年7月に、東京プロマーケット上場で戸建住宅建設のLUMBER ONE<5526>を傘下に収めると発表(株式取得予定日は2023年9月1日)したもので、取得価格は100億円を超える。3年間の投資額450億円のうち早くも4分の1ほどを今回のM&Aに投じることになる。

LUMBER ONEは東京都立川市に本社を置く企業で、東京23区や郊外を中心に、土地仕入れや木造建築工事の請負、設計などを手がけている。2022年7月期の売上高は122億1700万円で、経常利益は4億7000万円だった。

ヤマエの2026年3月期の目標である7200億円の売り上げを達成するには、2023年3月期の売り上げ(5879億8200万円)から1320億円ほどを上積みする必要がある。LUMBER ONEの子会社化はこの1割ほどを満たす計算だ。

経常利益についても同様の計算をすると、2026年3月期の経常利益目標180億円を実現するためには、2023年3月期の経常利益(121億5600万円)から58億円ほどの上積みが必要で、今回のM&Aによってその1割弱が達成できることになる。

ヤマエは2016年に東日本エリアを中心にプレカット製品の製造・販売などを手がけるハイビックをグループ化したのをはじめ、2021年には関東地区に住宅資材を供給する体制を増強し、2022年には東京都多摩地区で新築戸建分譲や注文住宅事業を展開するアスティークの株式取得するなどの強化策を講じており、LUMBER ONEが加わることで、関東エリアの事業を一段と拡大できると判断した。

M&Aで事業の多角化を実現

ヤマエは食と住を中心にM&Aを実施する方針を掲げており、LUMBER ONEの子会社化では、住の分野での案件が実現した。次は食となるのか、同じく住となるのか。どのようなM&Aを繰り出すのか注目されるところだが、2022年に適時開示した主要案件はいずれも食の分野だった。

2022年5月に子会社化した精米卸の福岡農産(福岡県川崎町)は九州エリアを中心に事業を展開しており、2021年5月期の売上高は17億4100万円で、経常利益は200万円だった。

2022年8月に子会社化した日本ピザハット・コーポレーション(横浜市)は、宅配ピザ「ピザハット」の国内フランチャイザー(加盟店本部)として約500店舗を展開しており、2022年3月期の売上高は209億8000万円で、経常利益は13億5300万円だった。

ヤマエは企業向けの卸売りがメインだが、ビザハットをグループ化することで、消費者向けのフードサービス領域への本格進出となった。まさにM&Aによる事業の多角化を実現した案件といえる。

両社は2022年の実績で、売上高の一部は2023年3月期の売り上げに計上されているが、2024年3月期は両社の1年分の全売上高が加わることになるため、2026年3月期に計画している目標数字に少なからず寄与することなる。

NEXT STORY

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5