最近の「仮想通貨危機」が、これまでの「乱高下」とは違う理由

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「銀行はあなたの友達ではない」と書かれたTシャツを着たセルシウス・ネットワークのマシンスキーCEO(Photo By Reuters)

政策金利上昇が引き金に

設備投資、不動産投資、株式投資と回り、それでも吸収できない大量の資金が仮想通貨市場に流れた。加えてゼロに近い利率で「金庫代わり」にしかならない銀行預金を利回りの良い仮想通貨の運用に振り替える個人資産も流入し、仮想通貨市場を支えてきた。

しかし、政策金利の引き上げで状況は一変する。これまでは下落しても、低金利で行き場のない資金が仮想通貨の「買い」に戻ることで持ち直してきた。このまま金利上昇が続けば、「戻ってくる資金」は徐々に細っていく。仮想通貨の価格が戻るにせよ、ゼロ金利下のような大幅な値上がりは期待できない。

さらに仮想通貨の「セーフティーネット」への信頼も揺らいでいる。仮想通貨業界は過去にあった暴落の反省から、長期的に持続可能な市場システムを構築する努力をしてきた。その一つが「ステーブルコイン」。基軸通貨であるドルと同価値を持つように設計された仮想通貨だ。

代表的なものが韓国の起業家でTerraform Labs(シンガポール)最高経営責任者(CEO)のド・クォン(權渡衡)氏が開発した「テラUSD」。テラUSDは「ルナ」というトークン(独自のブロックチェーンを持たない仮想通貨)と交換して利用する。テラUSDが1ドルを下回ると、流通する同仮想通貨を「焼却」して1ドル相当のルナと交換することで価格を維持する仕組み。

とはいえ、運営サイドが発行済のテラUSDやルナに見合うドルを保有していたわけではない。システム上で仮想通貨間のバランスを取ることで価値を安定させる「アルゴリズム型ステーブルコイン」だった。テラUSDが下落したらルナが値上がりすることで価格を安定させる手法だ。

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