7千件未返還のコロナ持続給付金不正受給、返せないとどうなる?

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持続化給付金不正受給の代償は大きい(写真はイメージ)

新型コロナウイルス対策の持続化給付金で国に自主返還の申し出があった不正受給のうち、約7000件が未返還のままであることが中小企業庁の調査で明らかになったという。同庁は自主返還した場合は刑事告訴などをしない方針だが、未返還の場合は厳しい対応をとる見通しだ。返還できなかったら、どうなるのか?

一括返還のみ、倒産や自己破産では免責されない

先ず返還だが、給付金を全額返せば終わりというわけにはいかない。不正受給金額に加え、20%の加算金と年率3%の延滞金を加えた金額を国庫に納入する必要がある。その全額を納入できなかった場合は、不正受給認定者名と所在地を公表する。

借入金であれば倒産や自己破産で免責、つまり「なかったこと」にできる。しかし不正受給は刑法の詐欺罪に当たり、倒産や自己破産では免責されない。場合によっては警察に逮捕され、刑事事件で裁かれる可能性もある。

すでに刑事事件として立件されるケースも報道されており、「逮捕されてはたまらない」とばかりに返還も相次いでいる。自主返還を申し出た約2万2500件中、7割近い1万5400件は返還済みだ。

「簡単に助成金がもらえる」との軽い気持ちで不正をしてしまった企業や個人ばかりではないだろう。持続化給付金の対象にはならないものの、運転資金や生活資金が逼迫(逼迫)してやむに止まれず不正に手を出したケースも少なくないはずだ。

自主返還を申し出ているにもかかわらず未返還ということは、返すカネの手当ができない可能性が高い。もちろん不正である以上、見逃して「なかったこと」にできないのは当然だ。とはいえ、刑事事件での立件を盾に返還を強く求めると、資金を調達できない零細企業経営者や個人を自殺や犯罪に追い込みかねない。

7000件の未返還者数は決して少なくなく、社会的な影響も大きいはずだ。国の最終目的も不正受給の完全返還であって、未返還のまま自殺や行方をくらませられては元も子もない。より柔軟な返還方法を検討する必要があるだろう。

文・M&A Online編集部

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