飲食業がさらに試練の波に 倒産件数が9カ月ぶりに増加 業界再編の動きも

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新型コロナウイルス感染症の患者数が増加傾向を示す中、大きな影響を受けてきた飲食業が、さらに厳しい状況にさらされている。

東京商工リサーチによると、2022年11月の飲食業の倒産は前年同月比25.6%増加しており、9カ月ぶりに前年同月を上回った。政府などによるコロナ支援策によって、かろうじて倒産を免れていた企業が、支援策の縮小とともに経営状況が悪化していることが背景にある。

M&Aでも、飲食業企業が同業者に子会社や事業を売却する案件や、異業種企業が飲食事業を買収する案件などが少なくなく、業界再編の動きが垣間見られる。

新型コロナ感染拡大の第8波への懸念が広がり、忘年会を控えるなど、飲食業界にとっては、厳しい環境が続く。今後、倒産やM&Aに大きな変化が訪れるかも知れない。

支援効果が薄らぎ、事業継続を断念

2022年11月の飲食業の倒産(負債1000万円以上)件数は49件で、2022年2月以来の前年同月越えとなった。49件のうち新型コロナ関連倒産は29件で、前年同月の15件から一気に2倍近くにまで膨らんだ。

コロナ関連支援策として実質無利子や無担保の融資、休業、時短協力金などの助成金が、飲食企業の経営を支えていたが、支援策が縮小されるなどの影響で効果が薄れつつある。ここに原材料費や光熱費の高騰が加わり、倒産件数の増加につながった。

業種別では「食堂、レストラン」と「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が、それぞれ14件ずつと最も多く、3位の「専門料理店」の2倍に達した。在宅勤務が浸透し、宴会などが減少したのが要因という。

東京商工リサーチでは「飲食業は零細規模の企業が多く、支援効果が薄らぐ中、業績回復の遅れから資金繰りが逼迫し、事業継続を断念するケースが増えている」としている。

業界再編がジワリ

一方、M&A Onlineのデータベースで、同業界のM&A動向を調べたところ、2022年は年初から12月7日までに17件のM&Aがあり、このうち飲食企業が同業の飲食企業に子会社や事業を売却した案件が5件、異業種企業が飲食企業を買収した案件が5件を占めた。件数はコロナ前の70%ほどに留まっており、少ない件数の中で業界再編がジワリと進んだ格好だ。

このまま倒産は増加するのか。飲食業界の再編は加速するのか。コロナ支援策の延長や再開などの動きと相まって、今後、関心が高まりそうだ。

文:M&A Online編集部

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