東京エレク「賞与300万円」で見えた、他人事ではない人材流出

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給与・賞与の大幅引き上げで人材流出を防げるか?(写真はイメージ)

「夏のボーナスが300万円!」東京エレクトロン<8035>の夏季賞与引き上げが話題になっている。平均30万円を積み増し、総支給額は300万円を超えるという。その背景になるのが人材流出防止だ。

海外では年収1500万円前後が「当たり前」

日本経済新聞によると、半導体不足に伴う増産需要増で業績好調な海外メーカーが、技術者を確保するため給与を増額している。2021年にはライバルのオランダASMLが12万ユーロ(約1667万円)、一時は東京エレクトロンとの経営統合で合意した米アプライドマテリアルズが11万ドル(約1497万円)などと高水準に。

東京エレクトロンの有価証券報告書によると、同社の平均給与は1285万円。夏の賞与で30万円上積みしても、両社には届かない。しかし、日本人は国内企業の海外勤務はともかく、海外への「出稼ぎ」には消極的だ。そこまで「給与格差」を気にする必要があるのか?

実は両社ともに日本法人がある。就職求人サイトで提示されている両社の年収は800万円〜1200万円と、東京エレクトロンよりも高いわけではない。もっとも、これには「裏」がある。求職求人サイトはいわば「公募」であり、企業側が「欲しい」優秀な人材を「一本釣り」するヘッドハンティングはさらに好条件を提示している。

高額給与による人材の「引き抜き合戦」は、半導体装置製造業だけではない。「川下」の半導体メーカーでも韓国サムスン電子が月給5カ月分の、同SKハイニックスは10カ月分の特別賞与を、それぞれ支給して人材流出防止に躍起になっている。

慢性的な技術者不足で苦しむウェブ系サービス企業では、さらに激しい人材争奪戦が繰り広げられている。かつて本国以外では技術者採用に消極的だった米GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)も、新卒だけで年間数百人の採用をするなど日本での人材獲得に積極的だ。

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