米CNNは2月8日、「中国のトヨタと、よろめく世界のライバル」という刺激的なタイトルで、中国自動車市場の現況を報じた。昨年の需要減少の原因については、ニューヨーク・タイムズ紙と同じく、補助金の撤廃や景気減速、米国との貿易問題を挙げた。
その上でトヨタの成功は、いくつもの要素(中国市場への注力、競合他社にとって逆風となった新関税、プラグインハイブリッド車の現地開発)を組み合わせ、新車需要を巧みに掘り起こしたことにある、と解説した。
その中でも特に昨年の中国の新関税導入は、米国工場からハイエンド車を中国に出荷しているBMWとダイムラーの利益を押し下げた一方で、「レクサス」には相対的な割安感を与えトヨタにとって追い風になったとCNNは分析した。
さらにCNNは中国政府が大気汚染問題と二酸化炭素(CO2)排出量削減に取り組む中で、電動車の普及を積極的に推進してきたことが、トヨタを助けていると指摘した。世界最大の電気自動車(EV)市場である中国だが、報道によるとCO2排出目標達成のためには、純粋なEVのみでは不十分だと政府は認識している。ハイブリッド車(HV)は一般的にEVよりも安く購入でき、充電や走行距離についての懸念もない。
トヨタは2017年、現地生産のハイブリッド・ユニットを搭載した「カローラ」および「レビン」を約14万台販売しており、今後さらにラインナップを拡大する予定だ。トヨタのHV戦略は、まだ完全にEVに乗り換える余裕がない中国の消費者をターゲットとするものでもある。CNNは調査会社ライトリサーチの「中国政府のHV支援策は、トヨタにとって競争上重要な足がかりとなる」とのコメントを紹介した。
その他のメディアでは「レクサス」の売上の限界を危惧するブルームバーグや、中国の需要は停滞しアメリカの需要についても3.5%の低下を予測するゴールドマン・サックス、新日米通商交渉等リスク想定が難しいと指摘するロイターなど、トヨタの将来展開に懸念を示す報道も見られた。
<参照記事>
https://www.nytimes.com/reuter...
https://www.bloomberg.com/news...
https://edition.cnn.com/2019/0...