債務超過から抜け出せないタカキューに復活の道はあるのか?

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※画像はイメージ

タカキューの上場維持には意味があるのか?

債務超過解消のカギとなるのが、イオン<8267>。タカキューは1992年8月に当時のジャスコと資本業務提携契約を締結し、資本を受け入れました。イオンは現在もタカキューの株式33%超を保有する筆頭株主で、持分法適用関連会社となっています。

ただし、タカキューが確固とした収益改善計画を立てて黒字化の道を示さない限り、イオンが救いの手を差し伸べることはないでしょう。タカキューが属するイオンのサービス・専門店事業は営業利益率が1.3%ほどと収益性が低いためです。

セブン&アイ・ホールディングス<3382>がアクティビストと激しく対立するなど、流通業界も株主からの圧力にさらされるようになりました。イオンもいつ不採算事業の切り離しを提言されてもおかしくはありません。

タカキューが資本増強を行わない限りは上場廃止となるため、今期中に何らかの動きがあるのは間違いないでしょう。ただし、数字だけを見ると上場を維持するメリットは低いと言わざるを得ません。タカキューは2023年2月末の時点で、現金及び預金と売掛金だけで20億円を超える資産を持っていますが、時価総額は18億円ほど。市場の評価は高くありません。

小売店の場合、ブランド力の強化や従業員のモチベーションアップを目的として新規上場や上場維持に努めることがあります。しかし、経営不振に悩まされて店舗を大量に閉店し、希望退職者を募ったタカキューの従業員が、高いモチベーションを維持するのは難しいでしょう。「TAKA-Q」のブランドもかつては認知度が高かったものの、今は大手紳士服チェーンの影に隠れています。

むしろこのタイミングで一度上場廃止にし、再起をかけるためにも再上場を目指す方が得策のようにも見えます。

タカキューに回復の兆しがないわけではありません。スーツの在庫を抱えないオーダースーツの需要獲得を強化し、2023年2月期のオーダースーツの売上高は、コロナ禍を迎える前の2020年2月期と比較して15%増加しています。オーダースーツの売上比率は、2020年2月期の23.1%から2023年2月期は31.2%となりました。オーダースーツへの転換を進めた効果もあり、既製品のスーツの在庫は2020年2月期と比較して半減しています。

また、Eコマースの売上高は14億5,500万円で、前年同期比7.2%増加しています。店舗や在庫を持たない低リスク経営を進めています。

麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。


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