エステ業界が苦境、7カ月連続で倒産が増加

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~ 2023年(1-2月)「エステティック業」の倒産 ~

 コロナ禍の生活様式の変化でエステティック業界が苦境に追い込まれている。 2023年(1‐2月)に入り、「エステティック業」の倒産(負債1,000万円以上)は11件(前年同期比175.0%増)と、前年同期の2.7倍に急増している。また、2022年8月から今年2月まで7カ月連続で前年同月を上回った。
 2023年に倒産した11件のうち、コロナ関連倒産は6件(構成比54.5%、前年同期1件)で、コロナ禍で遠のいた客足が戻らず、競合が激しいなかでコロナ禍の支援効果も薄れた「息切れ倒産」が件数を押し上げた。
 また、休廃業・解散は2020年から3年連続で100件台に乗せ、2022年は過去最多の116件に達した。

 2023年(1-2月)に倒産した11件を従業員数別でみると、5人未満が10件(構成比90.9%)と小・零細規模が大半を占め、負債額別では11件すべて1億円未満だった。形態別では、11件すべてが破産で、新たな生活様式の浸透で先行きを見通せず、再建を諦め破産の選択を余儀なくされている。
 エステティックサロンは、特別な資格が不要のため参入障壁が低く、自治体などの創業支援も後押しし、小規模での開業が多い。一方、大手企業は積極的な広告宣伝で顧客の囲い込みを強め、市場は飽和状態でサービスや施設、価格面で劣勢に立たされる企業の生き残りは難しい。
 コロナ禍では政府や自治体の資金繰り支援が下支えし、倒産は抑制された。ただ、顧客が自宅で施術するセルフエステが注目され、感染リスクのある店舗での対面サービスを避ける顧客が増えたことも影響した。このため、顧客獲得競争が激しさを増し、コロナ関連支援の効果が薄れ始めた2022年8月から、倒産は7カ月連続で前年同月を上回って推移している。
 最近は、店舗の業務用マシンを顧客が好きなタイミングで利用できるサブスク(定額)型セルフエステなど、新しい業態のサービスも広がっている。大手がサービスや価格で攻勢を仕掛けるなか、集客が低迷する小・零細事業者の脱落が続いている。

倒産は2022年8月から7カ月連続で増加

 2023年(1-2月)のエステティック業の倒産は11件(前年同期比175.0%増)と急増し、2022年8月から7カ月連続で前年同月を上回っている。
 コロナ禍以降では、2022年8月に「脱毛ラボ」経営の(株)セドナエンタープライズ(東京、破産)が最大の倒産に追い込まれた。負債総額は約60億円。若年女性を中心に高い知名度と支持を得ていたが、「新型コロナウイルス」感染拡大による売上急減が倒産の一因となっている。
 ただ、2023年(1-2月)に倒産した11件は、すべて負債1億円未満の小・零細事業者だった。コロナ禍の店舗休業が尾を引き、客足が戻らずに業績回復が遅れ、コロナ関連支援も効果が薄れた時に、電気・ガス料金など光熱費高騰によるコストアップが多忙な資金繰りを直撃。先行き見通しが立たず、倒産に追い込まれたり、廃業を決断するケースが増えている。

エステティック業 倒産件数 月次推移
©東京商工リサーチ

東京商工リサーチ「データを読む」より抜粋

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