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さくら総合リートが合併に反対 初の敵対的買収となるのか?

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※画像はイメージです Photo by Zoltan Tasi on Unsplash

5.J-REITは買収防衛が難しい

さくら総合リート投資法人は、「優れた運用実績を残している」として、スターアジア不動産投資法人から受けた合併提案に反対しています。しかし、J-REITが敵対的買収を仕掛けられた場合、いわゆる事業会社の敵対的買収に比べて、買収防衛は困難です。

J-REITの投資法人は資産運用会社に運用を委託し、保有する不動産の価値も公表しています。現在の投資口価格(株価)よりも高い買収価格が提示された時に、価格を理由に拒否することは難しく、むしろ投資家にとっては高く売れるチャンスです。

さらに、価格が低迷する中小のJ-REITは、物件取得のために増資すると希薄化(1株当たりの価値の減少)を招くため、物件の取得力を高めるのが難しい状況です。

合併のメリットとして、増資による安定的な成長基盤の確保があります。資産規模が大きくなれば、増資を行っても分配金への影響を少なくすることができます。

資産規模が5,000億円あれば、500億円程度の増資を行っても分配金への影響は少ないものの、資産規模が2,000億円程度だと増資の割合が高くなるので、大きな影響を受けるからです。

物件を取得できずに成長が頭打ちになっている銘柄もあるので、今回の敵対的買収が価格低迷している中小J-REITの起爆剤になる可能性もあります。敵対的買収が仕掛けられるとなれば、他のJ-REITの危機感を高めることになり、なんらかの価値向上策が打ち出されるという期待も高まります。 

敵対的買収は、NAV倍率1倍割れで割安に放置されているJ-REITの価格上昇要因となるのです。

6.J-REITを敵対的買収する方法

スターアジア不動産投資法人は、株主総会でさくら総合リート投資法人に対し運用会社の変更や執行役員の入れ替えを提案し、過半数の賛成を得られれば合併の具体化に移る考えです。では、具体的にどのような方法が考えられるのでしょうか。

まず、保有する不動産を売却して利益をだすために、さくらリート投資法人とその運用会社に対して保有するすべての不動産の購入を希望。スターアジア投資法人にとっては、さくらリート投資法人を存続させる必要もないので、J-REITの解散を前提として保有資産の全部譲渡を求めます。

しかし、さくらリート投資法人は買収に反対しているので、投資口を買い集めることも考えられます。

現在、スターアジア投資法人は、さくらの投資口の約3.6%を保有。投資口を取得する方法としては、市場で買い集めるほか、公開買付け(TOB)を行う方法があります。

ただ、さきほどの税制のところでも説明しましたが、他社の株式保有割合が50%を超えると法人税の免除がなくなるため、過去にも50%を超える公開買付けはありません。

公開買付けの実例としては、2008年8月のアップル・リンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィが、リプラス・レジデンシャル投資法人に対して行った例があります。ただし、同投資グループであるオークツリー・キャピタル・マネジメントに対する第三者割当増資も実施しており、”友好的”な公開買付けでした。第三者割当増資と公開買付により約48.40%の株式を取得しています。

7.市場で好感されたJ-REITの合併

これまでのJ-REITにおける買収は、経営難のJ-REIT救済やグループ内における規模の拡大といった友好的な買収のみでした。しかし、保有する不動産の価値に対して割安に放置されている中小のJ-REITも多く、今後は敵対的な買収も増えてくることが予想されます。

J-REITの合併は市場にも好感され、スターアジアの買収提案がなされた5月10日から24日までの上昇率は、スターアジアで5.7%、さくらで6.2%です。

今後もNAV倍率が1倍割れで保有資産の価値が高いJ-REITは、買収期待の買いが入る可能性が高いと考えられます。

文:M&A Online編集部

参考資料:
さくら総合リート投資法人の投資主の皆様へ スターアジアグループからの提案に対する見解(5/17)
補足説明資料-スターアジアグループへの反論(5/23)

ご注意:当記事の個別の銘柄および企業については、あくまで説明のための例示であり、個別企業の推奨を目的とするものではありません。

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