仏ルノーの「日産離れ」が、そろり加速-関係修復は一段と困難に

alt
日産はルノーから離れて「一人旅」に出るのか?(Photo By Reuters)

EVシフトがアライアンス継続の「踏み絵」に

ルノーは今秋にEVシフト計画の詳細を公表するとしているが、アライアンスを組む日産と三菱自工との協業にこだわらず、他の自動車メーカーやテック系企業と提携する可能性があると公言している。日産を「引っ張ってでも連れて行く」強硬策に出ていたルノーが、「やる気があるのならどうぞ、そうでなければ別の道を行きましょう」と軟化したのだ。

だが、それは日産に配慮したからではない。ルノーが「EVシフト」にハンドルを切ることで、エンジンにこだわる日産がルノーの技術開発や部品調達などで貢献する余地がなくなるからだ。ルノーはEV新会社の設立資金として、日産株の売却を模索しているという。日産がEV新会社への参加を見送れば、株式売却の絶好の口実になる。

長年にわたってルノーの連結決算を支えてきた日産の業績もさえない。2023年3月期第1四半期(2022年4〜6月期)連結決算は売上高こそ前年同期比6.4%増の2兆1373億円だったが、本業の儲けを示す営業利益は同14.2%減の649億円、純利益は同58.9%減の471億円といずれも減益に。EVシフトが遅れている日産が、今後成長できるかどうかは不透明だ。

2021年のEV世界販売台数はルノーが13万6750台だったのに対し、日産は6万4201台と半分以下だった。世界初の量産EV乗用車「リーフ」を世に送り出した日産だったが、EVメーカーとしては上位20位以内からも姿を消した。そのうえ業績までさえないとなると、ルノーにとっては日産とアライアンスを組むメリットは少ない。

一方、日産と三菱自工だけで、EVを展開していくのは厳しい。EVだけを見ても「ルノーから独立すればうまくいく」とは言えなくなってきた。ただ、すでにルノー側が取り始めた日産との距離は、今後せばまることはないだろう。早ければ今秋のEV新会社の設立発表で、ルノー・日産アライアンス「解散」の兆しが見えるかもしれない。

文:M&A Online編集部

関連記事はこちら
仏ルノーは日産株を「なぜ」「どれだけ」売却するのか?
ルノーのダイムラー株売却に日産とのアライアンス解消の「予兆」

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。