トランプ氏が“口先介入” した「四半期決算」とは

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

トランプ氏「真剣に検討している」

トランプ大統領は決算発表を年2回にすることを望んでいるという。ツイッターの中で、この件について米財界首脳から意見具申があったことを明らかにしている。報道によると、ツイッター投稿後、「とても真剣に検討している」と記者団に語ったという。

そもそも米国は四半期決算の“ご本尊”ともいうべき存在だ。SECの監督のもとで、四半期決算がスタートしたのは1970年にさかのぼる。SECは米政府の独立機関で強力な権限を持ち、米国を揺るがせたエンロン事件やワールドコム事件の不正会計を暴いたことでも知られる。

証券市場のルールづくりはSECのいわば専管事項。四半期決算をめぐるトランプ氏の「検討要請」が今後、見直し論議に発展することになるのか、それとも単なる口先介入で終わってしまうのか。世界経済への影響力も大きいだけに、その行方が注視される。取り扱い次第では投資家保護、情報開示の流れに逆行する、不正行為を呼び込むとの批判を招きかねない。

EUは四半期の開示義務を廃止、さて日本は?

もっとも、欧州連合(EU)や英国は四半期決算を任意の扱いとする規制緩和を実施している。EUでは多くの中小企業にとって負担が著しい、投資家保護目的としては必要ない、長期的投資を妨げるなどとして2015年に四半期の開示義務を廃止した。英国でも企業の長期的なパフォーマンス向上の観点から義務づけの廃止に動いた。

日本では政府が2017年6月に公表された「未来投資戦略2017」の中で四半期開示について言及。国際的な状況や議論も踏まえ、義務的開示の是非を検証しつつ、 重複開示の解消や効率化のための課題や方策を検討との方向性が示された。今回のトランプ発言が日本での議論を加速する引き金になれば、それなりに意味が大きい。

文:M&A Online編集部

NEXT STORY

【TSR情報】2016年を振り返って

東京商工リサーチ
| 2016/12/30
2016.12.30

「円安」関連倒産(6月、上半期)

東京商工リサーチ
| 2016/7/20
2016.07.20

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5