バニラとの競合路線、子会社化で見直しか
1旅客あたりのマージンをいかに高めるかは経営上、非常に重要である。LCCはいくつかの路線では競合し、価格競争が激しくなっているからだ。
以下はピーチとバニラ・エアの就航路線をまとめたものだ。
ピーチの就航路線 | バニラ・エアの就航路線 | |||
<国内線> | <国内線> | |||
大阪(関西) | 新千歳 | 大阪(関西) | 函館 | |
大阪(関西) | 仙台 | |||
大阪(関西) | 東京(成田) | 大阪(関西) | 東京(成田) | |
大阪(関西) | 松山 | |||
大阪(関西) | 福岡 | 大阪(関西) | 奄美大島 | |
大阪(関西) | 長崎 | |||
大阪(関西) | 宮崎 | |||
大阪(関西) | 鹿児島 | |||
大阪(関西) | 那覇 | |||
大阪(関西) | 石垣 | |||
東京(成田) | 新千歳 | →廃止へ | 東京(成田) | 新千歳 |
東京(成田) | 福岡 | 東京(成田) | 函館 | |
東京(成田) | 那覇 | →廃止へ | 東京(成田) | 那覇 |
那覇 | 福岡 | 東京(成田) | 奄美大島 | |
<国際線> | <国際線> | |||
大阪(関西) | ソウル | |||
大阪(関西) | 台北 | 大阪(関西) | 台北 | |
大阪(関西) | 高雄 | 東京(成田) | 高雄 | |
大阪(関西) | 香港 | 東京(成田) | 香港 | |
大阪(関西) | 上海 | 東京(成田) | ホーチミン | |
羽田 | ソウル | 東京(成田) | セブ | |
羽田 | 台北 | 東京(成田) | 台北 | |
羽田 | 上海 | |||
那覇 | ソウル | |||
那覇 | 台北 | 那覇 | 台北 | |
那覇 | 香港 | |||
那覇 | バンコク |
両社のホームページより筆者作成、一部路線は開設予定も含む
国内線では大阪(関西)ー東京(成田)、東京(成田)ー新千歳、東京(成田)ー那覇の3路線、国際線では大阪(関西)ー台北、那覇ー台北の2路線で、ピーチとバニラ・エアは競合している。羽田ー台北(ピーチ)、成田ー台北(バニラ・エア)も競合しているとみることができるだろう。このうち、ピーチは3月26日より、東京(成田)ー新千歳、東京(成田)ー那覇の2路線を廃止する予定だ。
これまで、ピーチはANAへの出資比率は3割強にとどまっていたため、ピーチは独自の戦略に基づき、自由に路線を開設することができた。今後、ANAがピーチ株を追加取得すれば、グループに2つのLCC子会社が生まれる。これまで以上に、ピーチとバニラ・エアの路線展開の住み分けを考え、無用な競争を避けるよう、ANA側がピーチへの関与を強めることも予想される。例えば、国際線でもピーチとバニラ・エアで競合する台北線をどちらかに任せ、バニラ・エアの収益性を改善させるという案も考えられる。
ANAはピーチ株の追加取得に投じる304億円で、成長著しいピーチを連結決算に反映させることが可能となるばかりか、ピーチとバニラ・エアの効率的な一体運営を進めてグループのLCC事業の収益力を強化できるーー。ピーチ子会社化の背景にはそんなANAのしたたかな戦略が透けて見える。
文:M&A Online編集部
ピーチ、ANA子会社化の衝撃(1)企業価値5年で7倍に 投資リターン大きく