一般市民との接触による感染を完全に防げたとしても、海外からやって来る五輪選手や関係者がバブル内にコロナウイルスを持ち込めば同様の事態になる。7月1日から17日の間に選手を含む五輪関係者から45人の陽性者が出ており、17日には1日としては最高の15人の感染が確認されるなど、開会に向けて増加気味だ。
しかも現在の感染の主力は、若年層でもワクチンを接種していないと重症化しかねないデルタ株だ。6月に国際オリンピック委員会(IOC)は来日する五輪選手や関係者などのおよそ8割が、大会までにワクチン接種を完了するとの見通しを示した。
が、ワクチン接種の報告は自己申告で、接種証明書を添付する必要はない。そもそもIOCは選手にワクチン接種を推奨しているが、義務ではない。接種するかどうかは個人の自由だ。トップアスリートだけに、ワクチンの副反応で最終調整に影響が出ることを懸念して接種を拒否する選手も少なくない。
選手村は相部屋なうえに、選手や関係者、スタッフが1カ所にひしめき合う過密空間だ。ワクチン未接種者が多ければ、感染拡大は避けられない。それを見越してか、政府と東京五輪・パラリンピック大会組織委員会はコロナ感染者の濃厚接触者と判断された選手について、試合開始前6時間以内のPCR検査で陰性ならば出場を認める方針だ。
当初、濃厚接触者と判定された選手は最大6日間は出場を認めないとしていた。しかし、五輪関係者の感染が次々と明らかになり、従来の対応では大会が維持できないと判断したようだ。一般の濃厚接触者にはPCR検査が陰性でも自宅などで14日間の待機を求めており、極めて異例の対応となる。
ただ、選手村でクラスターが発生し、陽性者が大量に出てくれば試合どころではなくなる。大会を維持するために、さらにルールを「陽性者でも発熱などの症状が出ていなければ出場を認める」と緩和することも可能かもしれない。だが、これには対戦相手が感染を恐れて強く抵抗するだろう。とてもではないが実現しない。
日本政府は2021年4月13日に、東京電力福島第一原子力発電所で増え続けている放射性物質のトリチウムを含む汚染水を海洋に放出する方針を決めた。トリチウムとはどのくらい危険な物資なのだろうか。