50億円取立不能のOKWAVE、問題発覚前に元社長が大量の株式を売却

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気になる株式売却のタイミング

オウケイウェイヴは兼元謙任氏が設立したオーケーウェブが前身。2000年にQ&AメディアOKWAVEをリリースしました。2006年6月にセントレックスに株式を上場。2017年9月に松田元氏が取締役に就任します。2018年7月に創業者の兼元氏が代表取締役会長に、松田氏が代表取締役社長になりました。

松田氏は2014年に情報商材を販売する「アルケミストアカデミー」「平成松下村塾」などで講師を務めた過去があり、その人脈や経歴を疑問視する声が絶えませんでした。

オウケイウェイヴは2020年10月にエクシア合同会社(東京都港区)に暗号資産交換業のLastRoots(東京都港区)の全株式を売却しています。エクシア合同会社は日本の投資会社で、高利回りを標ぼうしてインターネットを中心に資金を募っています。しかし、金融庁の「金融商品取引業者」に登録されていないことがSNSなどで問題視されていました(ただし、エクシア合同会社はみらいアセットマネジメント(東京都港区)を買収しており、商号変更した子会社のエクシア・アセット・マネジメントが登録されています)。

松田氏が経営に関わった後のオウケイウェイヴは、ネガティブなイメージを払拭できませんでした。

松田氏は2019年7月にオウケイウェイヴ株の保有比率を8.94%から22.0%までいっきに高めました。兼元氏から130万株を取得したのです。兼元氏の保有割合は24.49%から9.18%まで低下しています。松田氏の会社への支配力は強まりました。

松田氏が保有するオウケイウェイヴ株式の変動をみる

松田氏は2020年4月に代表取締役社長を辞任。福田道夫氏が新社長に就任しました。松田氏は2020年2月から3月にかけて、保有する株式を大量に売却。当時、過去にオウケイウェイヴが発行した新株予約権付社債による5億円の償還期限が迫っており、償還猶予を求めるか検討している最中でした。このときの大量売却がインサイダー取引にあたる可能性があると指摘されたのです。松田氏は引責辞任しました。なお、この取引は第三者委員会の調査報告によって適切な取引であったことが確認されています。

松田氏は2021年12月20日、保有比率が21.88%から10.41%まで下がったことを報告。報告義務発生日は2020年4月27日となっており、インサイダーが疑われた期間のものと考えられます。その翌日の2021年12月21日、94万株あまりを売却したと報告しています。これによって保有比率は0.08%まで下がりました。

松田氏は兼元氏から株式を取得する際、資金を借り入れるために担保設定をしており、21日に報告した分は担保権の行使だと考えられます。

担保となっていた54万株はネットワークビジネスを展開するワールド・レップ・サービス(東京都中央区)の代表取締役会長・許善政氏の手に渡りました。許善政氏のオウケイウェイヴ株の保有比率は4.32%となっています。

気になるのは松田氏が株式を売却したタイミング。2020年3月ごろのオウケイウェイヴ株は1株500~1,000円前後で売買されていました。PKSHA Technologyに事業売却したのは2021年6月。このM&Aは、会社分割で新会社を設立するなど、大掛かりなもの。1年以上前から構想や計画を練っていたものと考えられます。また、本業が一時的にではあれ骨抜きになるプロジェクトは、会社に強い影響力がある人物が牽引したと考えるのが普通でしょう。

主力事業を売却しても会社を成長させる見込みがあれば、インサイダー取引を疑われてまで焦って売却する必要はありません。

オウケイウェイブの株価は4月20日にストップ安の198円となりました。

債権取立不能問題の行方に注目が集まっています。

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