投資の世界ではお金の損得が絡みます。お金とは、もともと感情をざわつかせる媒体だし、人間は不確実性が伴う意思決定で間違えやすい生き物だとも思います。原理原則に照らして物事を判断することがいつも一番大切であり、何が「やってはいけない」ことで、その理由がなぜなのかが分かるようになれば、損失の回避にもつながります。
今回は、投資の原則についていくつかお話ししたいと思います。
投資は資金を経済活動に参加させてリターンの獲得を目指す行為ですが、ある程度の時間、参加させなければ、大きなリターンが望みにくい。つまり「売り買いをなるべく減らせる」ということがリターン獲得の上で重要となります。
また、分散投資は、投資家自身の努力(あるいは選択)でできるリスク削減行動なので、こちらも重要。いつも申し上げていますが、個別銘柄への投資と、銘柄数の多いインデックスファンドへの投資は、過去のパフォーマンスから見ても後者が圧勝しています。
最後にコストですが、これは投資家からすると「無条件のマイナスリターン」と考えるべきです。つまり、生命保険や仕組み債のように投資家に対して実質的な手数料をオープンにしていない運用商品に対してはどこを見て、どう検討すればよいのか誰にもわからない商品なのです。
期待リターンが分からないものは絶対に買ってはいけない。コストが正確に分からない運用商品は「全て」購入を見送って構いません。
キーワードは「納得」。いつの時代も投資の世界では、自分が分からないことで儲けようとするのは、チャンスよりも、危険の方が大きい。誤解を恐れずに言うならば、大切な「お金」のことを他人に委ねること自体が原則的な心構えとして極めて不適切だと思います。投資に限らず、経済的な意思決定は「自分で納得して」行うのが生きていくうえでの大原則なのではないでしょうか。
結論から申し上げると、資産形成に有利なのは投資の方です。投機も正当な経済活動であり、リスクヘッジなどの役に立ってもいるので、「すべて悪い」とは微塵も思いません。ただし、投機のリスクを取ることは、長期的な資産形成に関しては確実に不利です。
「商品先物はハイリスク・ハイリターンです」といった表現を見聞きすることがありますが、これはハイリスク・ハイリターンの言葉の意味としても適切ではありません。ちなみにここで「投資」に分類されるのは、株式、債券、不動産。「投機」に分類されるのはFX(外国為替証拠金取引)、外債投資や外貨建て保険の為替リスク、商品相場、暗号資産のことです。
何事も知識を定着させるためには「練習」が有効です。読者自身でトライしてみて下さい。
問題:下記の行動は投資にあたって「やっても良い行動なのか否か」を考えて、理由を説明して下さい。
①ライフプランの相談で会ったFPが勧めてくれた年金保険を契約した。
②ESG(環境・社会・ガバナンス)をテーマとする投資信託を購入した。
③ファンドのレーティングを参考に投資信託を選んでいる。
④株式も投信も「3割上がったら利食い売り、1割下がったら損切り」と決めている。
⑤友人が契約しているファンド・ラップの組み入れと同じ投信に投資している。
⑥外貨建ての生命保険で資産形成を目指している。
⑦つみたてNISAでアクティブ・ファンドに投資している。
⑧投信評価会社から表彰されたアクティブ・ファンドに投資した。
⑨老後の資金作りのためにFXにチャレンジしている。
⑩会社の確定拠出年金の資産は全て定期預金に置いている。
答えはすべて「✖」です。理由がわからない問題があった方はこれから少しずつでも勉強していきましょう!
文:晴れの国トレーダー
4月8日、サン電子の臨時株主総会でアクティビストファンドのオアシス・マネジメント・カンパニーによる株主提案が可決された。オアシスにとって、日本で株主提案を通した初の事例となる。
有事は買い⁉ 戦争や自然災害などでよく引き合いに出される相場格言。これは今流行っている新型肺炎を巡る感染症リスクにも通用するのだろうか。過去の感染病発生時とその後の株価について検討してみた