2020年の日経平均株価は終値で2万7444円。年末終値で31年ぶりの高値となった。コロナに翻弄された1年だったが、株式市場を振り返ると株価は大幅に上昇して越年した。
経済指標を眺めると、「景気」は決してよくないが、株価上昇を端的に裏付けているのは通貨供給量と銀行貸し出しであることは確か。広義の通貨供給量である11月のM3(現金、預金など)は対前年比プラス7.6%、銀行貸し出しもプラス6%となっている。
これまで、日本銀行の金融緩和努力にもかかわらず、なかなか市中に巡るマネーは増えていなかったのだが、財政支出が増えたり、政府が保証することで銀行の貸し出しが伸びたりして、金融緩和が後押しされた格好となっている。大まかに言うと、財政的刺激があるたびに金融緩和が強化されている。
問題はコロナ。感染が拡大し、重症者の数も増えて、北海道や大阪など各地で医療が逼迫するなど、心配な状況が続いている。しかし、皮肉なことにこれが株価にとっては好材料となっている。
また、米国の状況を見ても前FRB(連邦準備制度理事会)議長のジャネット・イエレン氏を財務長官に起用するバイデン政権の布陣を見るに、今後もコロナ対策のための大規模な財政支出が継続されそうで、株価をめぐる構図は基本的に変わらないようにも思える。
昨年11月に日本最大の株式の保有主体が、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から日本銀行に交代した模様。一時よりも買うペースを落としているとはいえ、「買い」一方の日銀に対して、GPIFは株価の値上がりで国内株式比率が基本ポートフォリオの比率(25%)から上方乖離したことから、保有株式の一部を売却したので、「日本の筆頭株主」交代が少々早まったのだろうと思われる。
日銀が民間企業の大株主になる状況について私は好ましいとは思わないが、事実は事実。買ったということはいつかは売らねばならないわけで、出口としては「ひとひねりどころか、五ひねり」くらいの工夫が必要となるのではないか。
気をつけるとするならば、米国の失業率の低下とインフレ率の上昇。いずれ「対策」が不要になる状況が訪れたら、いきなり深い調整があってもおかしくはない。経験的に言って、「バブル」の株価は最後のひと伸びが一番大きい。株式の売却が早すぎると、次の株価上昇を見て、また買い直ししたくなって高値をつかむというようなことがしばしば起こるので、そこには注意が必要である。
年始なので最後に2021年の投資スタンスについても少し触れておきたい。今年も様々なイベントやニュースが飛び交うだろう。残念なことに、いつの時代もどの会社が「良い会社」「真に優れた会社」なのかは事前には分からないもの。ならば、やはり手広く分散投資しておくことが現実的で良い方法なのだと思う。
もちろん、分散投資には日本株と米国株の両方に分散投資することも含まれている。その時々にどういった予想を持つとしても「現実的な答え」はおおよそいつも同じといって差し支えない。つまり今年も株式を持ったまま、あれこれ予想を楽しめばいいということ。
最後に投資にあたって私のお勧めを一つ。良い本をとりあえず数冊読んで、そして自分で少し考えてみる。そうすれば、お金の運用は誰にでもできる。リスク資産運用の基本は「購入時」と「運用期間中」の手数料(コスト)に注意(低ければ低いほうがいい)し、内外の株式のインデックス・ファンドに自分で直接投資するだけのことなのだから。
文:晴れの国トレーダー
かつてほどの勢いがないとはいえ、ヘッジファンドの運用残高は約350兆円。依然として世界の金融市場に大きなインパクトを及ぼしている。今回はヘッジファンドの仕組みとその影響について解説していこう。