「ソーシャルレンディング」と「クラウドファンディング」の違い

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Photo by Ian Schneider on Unsplash

最近、よく耳にする「ソーシャルレンディング」と「クラウドファンディング」。その違いは何だろうか。

実はソーシャルレンディングとは、クラウドファンディングの一種であり、貸付型(融資型)クラウドファンディングに分類される。

まずは、クラウドファンディングから説明しよう。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングは、不特定の個人がインターネットを通じ、企業や個人が行うとする「課題解決策」に共感し、投資できる仕組みである。

クラウドファンディングは、米企業のINDIEGOGO(インディゴーゴー)などが、1990年代に無名アーティストの活動資金をインターネットを通じて募集し、寄付または募金の形で集めたことが始まりだ。その後、アーティストの活動支援だけでなく、さまざまな活動に広がり、現在では寄付だけでなく「投資」に近い形で広がりを見せている。

クラウドファンディングの「クラウド」とは群衆を意味し、多様な人たちが資金提供に参加できる仕組みのことである。少額の資金でもインターネットを通じて多くの人からお金を集めることにより、比較的大きな資金調達も可能になる。たとえば一人1,000円でも、1万人から集められれば1千万円の資金を集めることが可能だ。

投資金額が小さいと投資としての魅力は薄れるものの、「共感」や「思い」といった非金銭的なリターンも得られることで、お金だけでなく、ある種の寄付や募金のような社会貢献活動も併せ持つという特徴がある。

日本では、「Makuake(マクアケ)」や「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」などがクラウドファンディングサービスを提供している。

少額投資の意義

通常の投資理論は投資金額が多いことが前提で、ほとんどの投資家はリスク回避的な行動を選好するといわれている。しかし、クラウドファンディングのように投資金額が小さくなれば、投資家は必ずしもリスク回避的な行動をとるとは限らない。

たとえば、馬券や宝くじは期待リターンがマイナスでも、買う人がたくさんいるのと同じだ。少額ならリスクを取れる投資家が増え、リスクを抱えた事業に対しても資金を出しやすくなる。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングには、出資者が金銭的な見返りを求めない「寄付型」「購入型」と、金銭的な見返りを求める「金融型」の2つに大別できる。そして「金融型」は、さらに「貸付型(ソーシャルレンディング)」「ファンド型」「株式型」に分けられ、それぞれ異なった特徴を持っている。

●クラウドファンディングの分類

分類 金銭的見返り 説明・特徴など
寄付型 求めない 寄付型クラウドファンディングはウェブサイトで寄付を募るが、金銭的リターンは想定されていない。社会環境や子ども・介護・人権・自然資源・被災者など多くの分野がある。
購入型 求めない 購入型クラウドファンディングは、ウェブサイト上でものづくりなどのプロジェクトに対して資金調達が行われ、その見返りにプロジェクトのモノやサービスなどが資金提供者に還元される。ただし金銭的リターンは想定されていない。
金融型/ 貸付型(融資型) 求める 金融型クラウドファンディングでは、資金提供者は資金調達者から金銭的リターンを受け取る。「貸付型(融資型)」はソーシャルレンディングとも呼ばれ、匿名組合を通じて出資者から資金を集め、資金調達者に融資を行う。
金融型/ファンド型 求める 「ファンド型」は、企業が行う資金調達の一つで、個人投資家から特定の事業に対して出資を募る。投資家は出資額に応じたリターンを受け取れるだけでなく、その事業で作られたサービスやモノ、割引券などが受け取れることもあり、社会貢献性も高いことが特徴的だ。
金融型/株式型 求める 「株式型」は、企業が個人投資家に未公開株を提供する代わりに、出資を募るクラウドファンディング。投資家は企業の財務諸表などをもとに投資を行い、非上場企業の未公開株を購入できることが大きなメリットになる。ベンチャーキャピタルの代替手段として、最近注目されている。

それでは次に、ソーシャルレンディングについて解説しよう。

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