4月27日の英タイムも、南北会談は予想通り演出されたものであり象徴的だったと記している。理由として、南北会談から生じうる結果は限られており、「非核化は米国にとっての重要問題だが、(北朝鮮との地上戦が始まれば、通常兵器でたちまち焦土となる)韓国にとってはたいしたテーマでない」と指摘。長期にわたり核軍備を誇示してきた北朝鮮が完全に放棄するとは信じがたく、「朝鮮半島の非核化について北朝鮮は、中国や米国と異なる解釈をするだろう」とも分析した。
そのうえで同紙は、米朝会談で金委員長が実現しやすいのは「トランプ大統領に小さいながらも自尊心の満ちる勝利を実感させられる」北朝鮮で拘束中の米国人3人を母国に帰すことだとする論理を展開した。だからこそ、真価を問われるのは南北会談ではなく米朝会談であると同記事は結論づけたが、その一方で米朝会談は突如の中止もしくは悲惨な結果に終わるおそれもあるとの危惧も示す。それは「トランプ大統領に即時かつ完全な非核化以外交渉の道はないと吹き込む助言者がいる場合だ」と釘を刺している。
4月27日の米ニューヨークタイムズ紙は、「南北朝鮮は最終平和と非核という大胆な目標を設けた」との見出しの下、非核化を検証する基盤を定めない限り、他のコミットメントのほとんどは、ただの望みにすぎないとの分析を掲載した。
同紙は「期待が高いほど懐疑論も強まる」との言葉と共に、3点の疑問を挙げた。
1点目は金委員長が南北関係の改善により韓国を米国から離反させ、北への経済制裁を免れようとしているとの疑念。
2点目は前回の南北間合意も10年以上実行されなかったことをふまえ、南北会談の結果が本当に履行されるのかという疑念。
3点目は北朝鮮が核兵器削減協議に米国を巻き込み、交渉を手詰まり状態に押し込まないかとの指摘である。
同様に4月29日の米CNNも、朝鮮半島の非核化の用意があるとの金委員長の発言に対して「彼の非核化の定義は米韓と異なるかもしれない」とし、核兵器放棄の意向の真偽について懐疑論があると報じた。