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従業員のエンゲージメントと経済的安定を高める「全従業員オーナーシップ・プログラム」の推進拠点が日本で設立

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米国の非営利団体「Ownership Works(オーナーシップ・ワークス)」が設立した、初の海外拠点「オーナーシップ・ワークス・ジャパン」のロゴ(プレスリリースより)

2025年10月20日、従業員オーナーシップ・プログラム(「本プログラム」)を推進する米国の非営利団体「オーナーシップ・ワークス(Ownership Works)」は、日本において「オーナーシップ・ワークス・ジャパン(Ownership Works Japan)」を設立(「本日本拠点」)することを発表しました。

本プログラムは、主にPEファンドの投資先企業で働く従業員が、企業価値の一部を共有できる仕組みをいい、既に米国や日本におけるPEファンド投資先企業が同プログラムを導入しています。

従業員への株式インセンティブ制度は既に従業員持株会やESOPとして存在しますが、これらのスキームは有償で株式等の報酬を付与するものでした。一方、本プログラムは、業績連動型報酬及び賞与等のスキームを通じて、①正社員すべてにオーナーになる機会を付与すること、②可能な場合、従業員が年間給与の少なくとも半分を得られるポテンシャルを制度に組み込むこと、及び③一定の年収を下回る従業員には無償で提供することを重視しており、全従業員が共通の目的・価値観・目標のもとで一体となることを目的としています。また、全社員を対象とした経営戦略や業績に関する教育等を行う等、従業員のエンゲージメントの向上を図る取組みを実施することも本プログラムの特徴です。

国内のPEファンドの運用会社のみならず、PEファンドに出資している機関投資家等が本日本拠点のパートナーに参画しており、これら運用会社及び機関投資家を中心に本プログラムに対する関心が高まっています。

本プログラムの導入事例が今後増加した場合、投資先企業側がPEファンドによるM&Aの投資をより歓迎する環境が醸成されることが期待されます。また、M&Aのデュ―・ディリジェンスにおいて、投資検討先の企業がどのようなインセンティブ設計・給与形態となっているかを詳細に確認し、M&A実行後の従業員のインセンティブ制度をどのように構築するかを法務・税務・会計の面から検討した上で売主側と交渉することがより重要になることも予想されます。

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 藤井 啓樹

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2025年11月号(第143号)より転載

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