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令和6年金商法等改正に係る政府令案等に関するパブコメ結果の公表(公開買付・大量保有報告制度の見直し)

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金融庁

金融庁は、2025年3月14日に、令和6年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等を公表し、パブリックコメント手続を行っていましたが、2025年7月4日に、令和6年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等に関するパブリックコメントの結果等(「本パブコメ回答」)を公表しました。これは、2024年5月15日に成立した令和6年金融商品取引法改正による公開買付制度及び大量保有報告制度の見直しについて、関係政令・内閣府令等の規定の整備を行うものです。以下では、本パブコメ回答で示された上記改正に関する主要な考え方をご紹介します。

公開買付制度の見直し

公開買付価格の均一性について、上記改正により、買付対象の「株券等の種類及び内容に応じ」た均一性が求められることとされました(改正金商法施行令8条3項)。この規定について、本パブコメ回答では、従前から内容の異なる2以上の株券等を買付け等の対象とする場合において、実質的に買付け等の価格が均一となるようにすべきと解されていたところ、かかる趣旨を明確化するものであると示されています(本パブコメ回答(公開買付制度関連)No.108-109)。

また、公開買付価格の引下げについては、対象者が①株式分割又は②株主に対する株式・新株予約権の無償割当てを行った場合に限られていましたが、上記改正により、この引下事由に、③剰余金の配当及び④決済日より前の日を基準日として①から③の行為を行う旨を決定したことが追加されました(改正金商法施行令13条1項3号・4号)。本パブコメ回答では、上記③の趣旨は、公開買付けの決済日よりも前の日を基準日として対象者が剰余金の配当を行った場合、当該配当を受領する株主にとっては公開買付けに係る買付け等の価格を引き下げたとしても不利益とならないことから、例外的に公開買付価格の引下げを行うことを認めるものであるとした上で、例えば、普通株式と異なる配当財産が割り当てられる種類株式については、引下げ前の公開買付価格から当該種類株式1株あたりに割り当てられる配当財産の価額を控除した金額を下限として、買付け等の価格を引き下げることが可能であるとの解釈が示されています(本パブコメ回答(公開買付制度関連)No.47)。

大量保有報告制度の見直し

上記改正後の「株券等の大量保有報告に関するQ&A」問36は、「重要提案行為等」に該当するためには、①発行者(又はその子会社)に対する「提案」行為であること、②提案内容が金商法施行令14条の8の2第1項各号に掲げる事項(「各号列挙事項」)に該当すること及び③提案行為が発行者の事業活動に重大な変更を加え、又は重大な影響を及ぼすことを目的とすることの3つの要件をすべて満たす必要があるとした上で、③の要件に関し、各号列挙事項のうち一定の事項※1を「相対的に発行者の事業活動に及ぼす影響の程度が高い事項」として分類しています。

本パブコメ回答では、当該分類について、基本的に類型的に判断されるものであるとしつつ(本パブコメ回答(大量保有報告制度等関連)No.38)、上記「相対的に発行者の事業活動に及ぼす影響の程度が高い事項」は、発行者との対話の場で行うものであっても、それが実現した場合には発行者の事業活動に重大な変更を加え、又は重大な影響を及ぼすこととなるため、当該事項の提案は上記③の要件に該当する可能性が高いとの考え方が示されています(本パブコメ回答(大量保有報告制度等関連)No.36)。

上記改正は、一定の経過措置も設けられていますが、2026年5月1日※2から施行されるため、各企業は、施行後の対応に向けて、検討・準備を進めていく必要があります。

※1 具体的には、(i)代表取締役・代表執行役の選定・解職又は執行役員の選解任、(ii)特定の者(自ら又は自らが指名する者)の役員への選任、(iii)発行者が株式交換完全子会社となる株式交換、(iv)発行者が吸収合併消滅会社等となる吸収合併、(v)発行者の主要な事業を承継対象とする会社分割、(vi)発行者の主要な事業の譲渡、休止又は廃止、(vii)解散、(viii)破産手続等開始の申立て、及び(ix)第三者による支配権の取得です。
※2 なお、公開買付規制に係る金融商品取引法施行令14条、14条の3の8及び14条の3の11第1項の改正規定は、2025年7月4日から施行されています。

パートナー 大石 篤史
パートナー 鈴木 克昌
アソシエイト 鈴木 彬史
アソシエイト 橘川 文哉
アソシエイト 藤井 啓樹

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2025年8月号(第140号)より転載

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