■M&A体験談「私が会社を譲渡した理由」

休憩をはさんで、実際にM&Aによって会社を売却した株式会社アイドゥ会長の池田寛和さんが登壇。40歳で脱サラして起業し、首都圏で高級オートバイの月極駐車場を運営する事業をスタートさせたのだそうです。BMWやハーレーなどの高級バイクという、ニッチな目のつけどころがとても面白いですよね。創立してから6年で駐車場の拡大を止め、安定事業経営へとシフト。7年目以降は、順調に上下5%以内で売上は推移していったと言います。そんな業績好調のさなかに、池田さんはM&Aを決意したのだそう。MAOは思わず「何で?」と思ってしまいました。

その決意の裏には、池田さん曰く、人生における「フロー」と「ストック」という概念があるとのこと。家や車など引っ越したり買いかえたりと変わるものを「フロー」、家族や友達など基本的に変わらないものを「ストック」として考えると言います。その哲学に基づくと、会社はフローなのだそう。そんな考えから、「いつか会社を売るのならば、いつ売るのがいいのか?」という発想にたどり着いたのだと言います。業績好調のこのタイミングで売ることは、当時50代半ばの池田さんにとって経営者として新たなステージに挑戦できるだけでなく、強気で交渉ができ、十分なキャピタルゲインも得られるということを意味していました。実際、強気の条件を提示することもでき、アルバイトだった従業員を社員にするなど、売り手、買い手、そして従業員にとっても「Win-Win-Win」の結果になったと言います。「経営者であるならば、50代半ばからクロージングを意識する必要がある」と池田さん。

このように業績が好調な時にM&Aを決意したことや、脱サラする前から「いつか独立する」という思いを鼓舞するために都内にマンションの一室を購入したというエピソードに、とても実行力のある方なのだなと、MAOは感服してしまいました。

自身のM&A経験を振り返り、池田さんは「買い手、売り手、仲介者の三者の信頼が重要だ」と言います。そして、会社の価値は意外なところにあるので、専門家に見極めてもらい、自社の価値を知っておくことが大切なのだそうです。