事業承継ガイドライン、従業員承継も大幅追記

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中小企業庁は1月20日、「事業承継ガイドライン改訂検討会」(座長・山本昌弘明治大学教授)の第2回会合を開いた。前回会合(2021年9月)での議論を踏まえ、改訂版は事業承継の現状と課題、後継者の立場も考慮したデータなどの記載を充実させることを確認した。

従業員承継の流れも大幅に追記

2006年度に策定された事業承継ガイドラインは、事業承継に対する認識の向上と早い段階からの計画的な準備を促すことに主眼を置いた。2016年度の初改訂では、世代交代の際に中小企業が持つ技術・ノウハウもしっかり受け継ぐ形での活性化促進を掲げた。

5年ぶりの再改訂に踏み切った背景には、新型コロナウイルスの影響で経営環境の厳しさが募る中、承継時期を後ろ倒しする中小企業が増えていることがある。事業承継に関する国の支援策強化などを追い風に第三者へのM&Aは増加傾向だが、事業承継税制の活用ペースは鈍化しているため、コロナ禍をはじめとする状況変化や最新データなどを反映させたガイドラインを打ち出して事業承継の機運を高めることにした。

業種・地域属性別の取り組み記載へ

今回の改訂版では、ガイドラインの構成は現行を維持するが、業種や地域などの属性に応じた事業承継の取り組みに関するデータや事例を更新・追記し、事業承継を身近に感じてもらえるようにする。事業承継経験者の生の声や後継者目繊に立った事業承継の手順、後継者教育の具体的手法などの記載も充実させる。

また、重要性が増している従業員承継の類型や従業員後継者を選定する際のポイント、株式や債務・保証・担保の承継などにおける注意点についても大幅に追記する。

概要版と支援策一覧の資料も作成

このほか、ガイドラインの概要版と、事業承継に対する各種支援策を一覧できる別冊資料も新たに作成。事業者が事業承継の支援策や必要な取り組みなどを理解し、自分事としてイメージしやすくなるように工夫を凝らす。

次回会合は3月頃を予定。中小M&AにおけるPMI(買収後の経営統合作業)の段階的な支援の充実に向け、事業承継ガイドライン改訂検討会の下に設置された小委員会が策定している「中小PMIガイドライン(仮称)」と併せ、改訂版の内容を最終確認する。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
中小企業庁:事業承継ガイドライン改訂検討会(第2回) 配布資料 (meti.go.jp)

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