GoToトラベルはホテル・旅館にどれだけ貢献したのか

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需要回復を待つ以外に選択肢のないシティホテル

2020年6月開業予定だったものの未だオープンできない星野リゾートの「OMO3東京川崎(旧:オンザマークス)」

実は、星野リゾートはコロナ前にシティホテルに活路を見出していました。2015年に金沢などにある「ANAクラウンプラザ」ブランド4ホテルを400億円弱で買収。翌年には「ハイアットリージェンシー大阪」を160億円で取得していました。

シティホテルを買収した背景には、星野リゾート・リートの上場が潜んでいます。旅館は繁忙期と閑散期の差が激しく物件単体の収益性も低くなりがちなため、投資家からは魅力のない銘柄とみられてしまいます。シティホテルを保有することで収益を安定させ、資産規模を大きくしようとしました。しかしコロナでそれが裏目に出てしまいました。

星野リゾートのシティホテルは金沢、福岡などの観光地にありますが、GoToトラベルの恩恵はまったくありません。ビジネス需要が活発になってきた10月に入ってようやく50%を超えてきました。

  5月 6月 7月 8月 9月 10月
ANAクラウンプラザホテル金沢 1.6% 13.2% 25.7% 22.2% 36.2% 58.5%
ANAクラウンプラザホテル福岡 10.4% 19.7% 34.2% 31.7% 46.2% 72.2%
ハイアットリージェンシー大阪 12.6% 15.2% 25.2% 32.8% 36.7% 32.2%

決算報告資料より筆者作成

このシティホテルの苦境を真正面から受けているのが、都市型のホテルを中心に42物件を保有するジャパン・ホテルリートです。10月の段階で50%を下回っています。

  5月 6月 7月 8月 9月 10月
42物件合計 7.4% 14.8% 26.1% 32.3% 38.7% 46.1%

運用実績より筆者作成

GoToトラベルキャンペーンは、ミドルクラスのリゾート型宿泊施設の稼働率を実施前の6月と比較して倍以上押し上げる効果がありました。客室単価が1人20,000円程度の旅館は特にその恩恵を受けました。

一方、シティホテルへの効果は限定的です。

感染拡大防止によるキャンペーン中止により、リゾート型宿泊施設は再度稼働率の低下に頭を悩ませることになります。オリンピックの中止もささやかれるようになり、旅行業界の先行きの見えない状況はまだまだ続きそうです。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。 ブログはこちら 「ビールを飲む理由」 


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