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不二家が新チャネル、BAKEはシフト加速…菓子ネット通販の未来

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菓子業界全体でもECシフトが加速

10月10日にはECを中心とする新ブランド「しろいし洋菓子店」を立ち上げた。現在、BAKEの売上高に占めるEC化率は7%と業界平均よりもかなり高いが、これを今年度中に10%、向こう3カ年で15%に高める方針だ。コロナ禍が解消しても、実店舗での販売は人手不足による運営スタッフ不足や人件費高騰などの問題が山積している。

同社では2022年7月から現在までに国内5店舗を閉店したが、ECシフトなどの戦略転換で2023年6月期の売上高は、コロナ禍前(2019年6月期)の約8割まで回復しているという。こうした課題の解決に加えて、ネット会員などの顧客基盤を構築することにより、販売やマーケティングのビッグデータを収集できるメリットもある。

矢野経済研究所の「和洋菓子・デザート類市場に関する調査」によると、同市場の2021年度市場でECを含む通信販売は、まだ5.2%程度。だが、足元の変化は起こっている。GMOのECサイト構築SaaS(Software as a Service=クラウド上にあるソフトウェアを必要な分だけインターネット経由で利用できるサービス)「MakeShop byGMO」の2022年調査によると、同社が提供するECサイト構築サービスでは「フード・菓子」が最も多く、全受注の18.1%を占めた。

コロナ禍前の2019年との比較で、顧客からの注文数シェアは「ファッション・ブランド」が17.2%から17.9%の微増だったのに対して、「フード・菓子」は13.4%から17.6%に急増。トップが入れ替わる勢いだ。

不二家の新ECチャネル「FUJIYA Sweets.com」は商品数も現時点で4品目と少なく、方向性は明確ではない。しかし、既存「ファミリータウン」とは別のチャネルを立ち上げた以上、何らかの戦略転換はありそうだ。人手不足や原材料の値上げで、コスト削減や商品の高付加価値化は急務。その有力な手段の一つとして、菓子業界はEC化に注目している。今後、菓子各社のECシフトが加速するのは間違いなさそうだ。

文:M&A Online

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