スペイン国家の名誉のためにひとつ補足するならば、現代のスペインの人々にとってもこのユダヤ人追放は長く尾を引く歴史の蹉跌だ。
追放からおよそ520年後の2014年、スペイン政府は、1492年に追放したスファラディユダヤ人に対し、希望するすべての人に、スペイン国籍を認める法案を承認した。スペイン政府は、この法案の趣旨を「歴史の誤りを正すため」としている。筆者には、これは歴史に対する真摯な姿勢に思える...
1347年に欧州に上陸したペストは、ほどなく南欧イベリア半島に到達する。そして欧州各地で繰り広げられた惨劇が、この地でもまた繰り返される。ユダヤ教徒は隔離されたゲットーで生活し、衛生面や食事面でユダヤ教の厳しい戒律(コーシャ)を守っていた。
コロナ禍に直面している今、水面下ではコロナ新薬の開発をめぐって激しい競争が繰り広げられている。これは、もちろん開発に成功した場合の利権を狙ってのことだ。まさに中世でも同じことが起こった。引き金は伝染病のペスト。ペストの大流行は経済を変えた。
「株式会社」は大航海時代の商業活動から誕生した。しかし、世間で言われる「株式会社がイノベーションを起こした」は間違いで、「イノベーションが株式会社を生んだ」のである。それではイノベーションを起こす「源泉」は何か?物語は大航海時代から始まる。