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EVに「乗り遅れる」自動車メーカーが使う三つのキーワード
脱ガソリン・脱ディーゼルの流れがはっきりしてきた。世界でEV化へ向けた動きが加速している。しかし、まだ不透明な部分もあり、自動車メーカーのEV対応には温度差がある。実は「EVシフト」に消極的なメーカーが好んで使う三つの「キーワード」がある。
通常なら国内最大の企業であるトヨタを、首相が本気で叩こうとは思わない。だが、目玉となる政策をあからさまに批判され続ければ、やがて堪忍袋の緒が切れる。2012年12月に衆院選を控えた安倍晋三元首相が打ち出した「アベノミクス」と呼ばれる金融緩和策を、当時の米倉弘昌日本経済団体連合会(経団連)会長が「大胆というより無鉄砲だ」などと批判した。
これが安倍元首相の不興を買う。安倍新政権発足後に米倉会長が関係改善の努力をしたものの、政府の経済財政諮問会議のメンバーから外れるなど徹底的に干された。2014年6月の会長退任まで安倍政権から距離を置かれ、経団連の地位低下を招いたとされる。
河野大臣は「調整型」ではなく「攻撃型」のリーダーと見られており、関係が悪化すれば安倍元首相同様に財界の重鎮であっても「干す」ことはいとわない可能性が高い。しかも、選挙区がある神奈川県はトヨタのライバルである日産自動車の本拠地だ。仮にトヨタを敵に回したとしても、票が増えることはあっても減ることはない。
河野大臣は既成の支持団体頼りではなく、SNSなどで広く市民から支持を得る政治手法を得意とする。「環境」を争点とする自工会やトヨタとの対立は、むしろ自らの支持率を上げる格好の材料になるだろう。こうした軋轢(あつれき)を最も恐れるのは、トヨタ以外の国産自動車メーカーだ。自工会が「標的」となれば、巻き添えをくらってしまう。
自工会も一枚岩ではない。世界初の量産EVを発売した日産はHVでは「新参者」で、しかもトヨタと違いEVに近いシリーズ方式のHVが主流だ。トヨタほどEVシフトにアレルギーはない。ホンダに至っては2040年までに「ガソリン車全廃」を宣言している。
すでに内定したと伝えられる豊田会長の任期再延長も、新政権との対立が激化すれば見直されることになるだろう。「ガソリン車全廃」問題の穏当な解決は、豊田会長が反対のほこを収め、業界あげてEVシフトへの方向転換を主導できるかどうかにかかっている。
文:M&A Online編集部
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脱ガソリン・脱ディーゼルの流れがはっきりしてきた。世界でEV化へ向けた動きが加速している。しかし、まだ不透明な部分もあり、自動車メーカーのEV対応には温度差がある。実は「EVシフト」に消極的なメーカーが好んで使う三つの「キーワード」がある。