数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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『アクティビスト 取締役会の野蛮な侵入者』オーウェン・ウォーカー著、日経BP刊
米国や欧州でビジネスと投資関連の取材をしてきた米国のジャーナリストが、多くの関係者にインタビューを行い、アクティビスト(物言う株主)と企業との熾烈な攻防戦に光を当てたのが本書。
世間を騒がせたヤフー、デュポン、マイクロソフト、ヒューレット・パッカードなど世界的に有名な企業8社の事例を取り上げ、アクティビストがターゲットの企業内で取締役の席を確保し大改革を実現した成功事例や、大金が必要となる委任状争奪戦や買収戦で一敗地に塗れた失敗事例などを詳しく紹介している。

著者は「アクティビストは他の株主と共有する不満を巧みに利用し、企業のガバナンス(統治)の欠如を糧にして繁栄する。したがってガバナンスに問題の多いアジア企業は有望なターゲットと見なされることがよくある」と言い切る。
政府が為替を円安に誘導している日本では「景気低迷時よりはるかにアクティビストに狙われやすいターゲットになった」と言い、サード・ポイント社がロボットメーカーのファナックに仕掛けた攻撃などを取り上げた。
そのうえで、日本では「戦略書を現地の習慣に合わせて書き直せる海外のアクティビストだけが成功のチャンスをつかむことができるだろう」と予測する。
著者は米国のアクティビストはこの5年間に市場の外野に位置する投資家から、世界でも最大級のM&Aの原動力となる存在に変身したと分析するも、良い時代はいつまでも続かないことを伝える兆候もいくつか見られるという。
その一つが経営者の行動の変化だ。経営者がアクティビストの攻撃を受けた時に狙われやすい弱点を減らす努力を惜しまず、機関投資家との関係も良好に保つようになった結果、経営陣と主要株主に強いつながりができ、取締役会と株主の間の不協和音を利用し、株主還元という短期的措置の要求で繁栄してきたアクティビストが成功しにくくなったとみる。
こうした状況を踏まえ「今後は自主的な改革を行う企業を手助けし、株主全体の利益のために行動することに強みを持つアクティビストがはるかに優位な立場になるはずだ」と締めくくった。(2021年1月発売)
文:M&A Online編集部
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