数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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『創業家一族』有森隆 著 エムディエヌコーポレーション刊
何を差し置いても、創業者は偉大だ。問題は、その後の経営をだれに託すか。一族で代々経営を引き継ぐ世襲もあれば、創業家にこだわらず、その時々の優秀な人材に経営を委ねるスタイルもある。君臨すれど統治せずという、いわば象徴に収まっている場合もある。
本書は日本を代表する企業や何かと話題を集めた企業の創業家にスポットをあてた。その数は44社。すでに同族経営から脱皮した企業も少なくないが、いずれも創業家の存在を抜きに今日を語ることはできない。

カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング。柳井正会長兼社長は「ユニクロ」を一代で世界3位のアパレル企業に押し上げたカリスマ経営者だが、ここへきて「創業者なので引退しない」の終身宣言をした。後継者を見つけることができていないからだという。
柳井はかねて「絶対に世襲はしない」と宣言していた。一方で2018年に長男と二男が取締役に昇格した。「血の承継より、会社の成長」に最大限の価値を置く柳井だが、2019年に70歳を迎えた。前言を翻し、息子を社長につけることはあるのか。
柳井と同じく、「終身社長型」として取り上げたのがニトリホールディングス会長の似鳥昭雄、ヤマダ電機会長の山田昇。いずれも創業者で経営の第一線に立つ。
トヨタ自動車では3人のサラリーマン社長を経て2009年、豊田家への大政奉還が14年ぶりに実現し、豊田章男が社長に就いた。章男社長には子息がおり、将来の社長候補として取りざたされている。
本書に収録された創業家の多くは“華麗なる一族”。ブリヂストン(石橋家)、武田薬品工業(武田家)、日清製粉グループ本社(正田家)、鹿島(鹿島家)、西武ホールディングス(堤家)、出光興産(出光家)、パナソニック(松下家)、ソニー(盛田家)、東急(五島家)……。
3代目がカジノ狂いにはまった大王製紙(井川家)、父親と娘が骨肉の争いを演じた大塚家具(大塚家)、二つの創業家が分裂したLIXILグループ(潮田家・伊奈家)なども取り上げた。
世襲か非世襲化かの議論はともかく、誰でも知っている著名企業のインサイドストーリーの一端に触れることのできる一冊だ。(2020年2月発売)
文:M&A Online編集部
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