数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか
山本康正著・東洋経済新報社刊
雨後の筍(たけのこ)のごとく誕生するベンチャー企業。玉石混交とはいうが、「玉」はほんの一握り。ほとんどは泡(あぶく)の如く消え、沈んでいく「石」だ。ではベンチャーの世界的な「聖地」である米シリコンバレーのベンチャーキャピタリストは、どうやって「玉」を見極めるのか?
本書は大手都銀の米州本部、米グーグルを経て、現在は日米独立系大手ベンチャーキャピタル(VC)のDNX Venturesインダストリーパートナーで、京都大学大学院総合生存学館(思修館)特任准教授も務める著者が分かりやすく解説する一冊だ。

シリコンバレーで日本の存在感の薄さに警鐘を鳴らす著者は、その要因としてクラウド化に乗り遅れた事例を取り上げる。日本を代表する大手企業が安易にアウトソーシングし、しかも発注先の技術力を重視せず「大手だから大丈夫だろう」と別の大手企業に発注してしまったと指摘。この「技術より社格」を重視する日本企業の風土が、世界に置いて行かれた要因とみる。
実は、これこそが日本企業の「目利き力」の低さの原因でもある。日本企業のクロスボーダー(海外企業を対象にした)M&Aで巨額の損失を出した案件は、ほとんどが「どこの馬の骨とも分からぬ」ベンチャーではなく、業界を代表する原子力発電装置会社や映画会社といった巨大企業だった。
IT系ベンチャーで「石」をつかまず、確実に「玉」を選ぶためには、シリコンバレーコミュニティーに属して情報収集をするのが一番。だが著者によると、このコミュニティーは「極めて閉鎖的で、簡単には入れない」世界だという。とはいえ、独自に「目利き力」を高める方法もある。
ブロックチェーンや人工知能(AI)、5G(第5世代移動体通信)といった目先の「流行り言葉」に飛びつくのではなく、10年先がどうなっているのかを予想した「技術マップ」をベースに考えることだという。技術は単独で発達するわけではなく、複数の技術が組み合わされることで市場に受け入れられる。そうした「流れ」を想定することで、成長するベンチャーを見分けられるという。
投資家はもちろんのこと、ベンチャー起業家や事業の将来構想を考える企業人にとっても「参考書」になりうるビジネス書だ。(2020年7月発売)
文:M&A Online編集部
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