数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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「20社のV字回復でわかる『危機の乗り越え方』図鑑」 杉浦 泰 著 日経BP刊
企業経営は山あり谷ありの連続だ。絶頂期はいつまでも続かない。気がついた時には手遅れだった、ということもある。市場トレンドの読み違い、革新的な製品・サービスの登場、強力な競合相手の出現、大企業病、慢心、不祥事…。誰でも知っているような著名企業でも、その都度、逆境を克服して今日がある。
本書は日米20社を取り上げ、「危機の突破事例」を解説する。「図鑑」と銘打ち、それぞれの企業が一体どんな危機に陥ったのか、危機の本質は何だったのか、どうやって守りを固め、いかに攻めに転じたのかを、できるだけシンプルに分かりやすく説明している。
「無印良品」「MUJI」のブランドで消費者の支持を集める良品計画。その同社もかつて絶頂とどん底を経験した。1990年代、バブル崩壊で百貨店やスーパーgが軒並み苦戦する中、増収増益の快進撃を続け、「無印神話」ともてはやされた。ところが、2000年代に入ると、「売れない雑貨屋」に様変わりしたのだ。
ユニクロ、ニトリといった専門店の台頭だけが理由ではない。「過去の成功体験」を払拭できず、有効な手立てを講じることができなかったのだ。当時、良品計画の親会社だった西友はセゾングループの中核企業の一つ。良品計画がまず着手したのは「セゾンの社風」の否定だったという。
日本で初めて「大企業病」になった会社とされるオムロン。1980年代、創業者の立石一真氏が自社の状況を「大企業病」と表現したのをきっかけに、この言葉が産業界に広まった。すでに制御機器メーカー大手に成長していたオムロンだが、あるベンチャー(現在のキーエンス)に隙を衝かれ、本業が脅かされる事態に陥っていたのだ。
生活用品や家電製品で知られるアイリスオーヤマ。今や5000億円企業に成長したが、かつては倒産寸前の町工場だった。同社が下した決断とは。
本書にはほかに、IBM、カルビー、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、日本マクドナルド、ウェザーニュース、ファーストリテイリング(ユニクロ)、パルコ、東宝、Apple、Adobe、P&Gなどが登場する。
著者は「社史マニア」を自認する。米企業を含め500社以上の社史の中から、「危機突破」の好事例というべき20社を選んだという。現下の「コロナ・ショック」を乗り越えるためのヒントが見えてくるかもしれない。(2020年8月発売)
文:M&A Online編集部
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