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『銀行という病』|編集部おすすめの1冊

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数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては? 

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『銀行という病』 長谷川 博郁 著、みらいパブリッシング刊 

“コロナ倒産”が広がっている。2020年の企業倒産は前年までの8000件台から一気に1万件を超えるとの予想も出ている。日本では中小企業の社長の大部分が金融機関からの借り入れに対して個人保証しているので、会社が倒れれば、自己破産に直結する。

本書の副題は「第2会社方式で事業と人生を再生する」。国(中小企業庁)はかねて第2会社方式による事業再生を制度化しているが、そうしたスキームの単なる解説本ではない。銀行と決別し、第2会社方式という大逆転の新手法で、事業を復活させ、自己破産からも免れた実体験がベースにある。そんな元経営者が、金融機関からの返済に苦慮する崖っぷちの中小企業経営者に再スタートの方法をアドバイスする。

銀行という病

著者は最盛期にフライドチキン、ハンバーガーなど洋風ファストフードを中心に約80店舗、年商60億円の会社に育て上げた。新事業が裏目に出るなど業績不振に陥った2007年、メーンバンクからこう提案された。「事業再編を進め、財務的に万全な会社にしましょう」。

ところが、主力のフライドチキンのFC(加盟店)事業を売却させられたことで、銀行に裏切られたことを知ったという。銀行は会社を見捨て、自行の債権回収・債権保全に走ったからだ。本書では銀行の実名が記され、支店長らとのやりとりも生々しい。

そんな倒産寸前のころ、ある「恩師」と出会い、第2会社方式で12店舗を残して事業を再スタートを切った。銀行の裏をかき、用意周到に進めた。第2会社方式は債務を旧社に残し、採算が見込める事業を新会社に移すものだが、差し押さえを免れるために財産を他に移すのは詐害行為だとして銀行から訴えられるおそれもある。

元の会社はどのようにしておくのが適切か、第2会社の社長にふさわしい資質とは、どうしても切り捨てたくない事業はどうする、再生できる経営者と再生できない経営者の違い、銀行との新しい付き合い方は…。第2会社方式を使って会社・人生を再生するポイントと心構えを解説する。

著者は「第2会社による事業再生はまるで宝くじに当たったようなものだ」という。現在、事業再生コンサルタントとして、全国を飛び回っている。(2020年2月発売)

文:M&A Online編集部

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