数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては? 

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『社長がボケた。事業承継はどうする?』 坂本 政史 著 中央経済社刊 

中小企業庁によると、2025年までに平均引退年齢である70歳を超える中小企業の経営者は約245万人に達し、このうち127万人については後継者が決まっていないという。

このままだと2025年までの累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGDP(国内総生産)が失われる可能性があると、同庁は警鐘を鳴らしている。

一方、後継者が決まっていても、経営を引き継ぐことが難しいケースがある。その一つが、本書のテーマである社長が認知症になった場合。社長が認知症になると、法律上できなくなることが数多くあり、会社に重大な影響を及ぼすことがある。

本書では認知症によるリスクを詳しく解説するとともに、認知症になったあとに会社はどのような対策がとれるのか、認知症になる前にやるべきことは何なのかなどをまとめてある。

社長がボケた。事業承継はどうする?

第1章では社長の法律行為に潜む認知症リスクや、会社の法律行為に潜む認知症リスクなどについて取り上げ、第2章では生前に事業承継ができなくなるケースなどを紹介した。

第3章では事業承継を成功に導く3つのD(デッドライン=事業承継を始める期限、デッド=社長の死亡、デッドロック=行き詰まり)」について解説。第4章では社長が判断能力を失った後の会社の対応などについて、第5章では成年後見制度についてそれぞれ取り上げた。第6章では事業承継に必要な専門家の選び方を指南している。

著者は父親の会社を継ぐことができず、義父の税理士事務所の後継者となったがうまくいかなったなど経験を持つ。

さらに祖父は認知症で、母親が特別養護老人ホームの看護師、実兄は介護の仕事をしているという。そうした家族として、専門家として、後継者として、認知症と事業承継の問題に向き合ってきた経験を基に本書をまとめ上げた。

所々に挿入されているコラムには、こうした経験談が詰め込まれている。(2020年8月発売)

文:M&A Online編集部