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【テンポスHD】中古厨房機器を起点に飲食店経営を幅広く支援、「あさくま」に次ぐ外食買収も

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テンポスHDの大宮店(さいたま市)

飲食店の5年後の生存率を高める

テンポスHDは1997年に中古厨房機器の販売・買い取りに乗り出した。商売柄、閉店する飲食店を数多く見てきた。同社によると、外食産業の5年後の生存率は45%、居酒屋、ラーメン店だと3年で70%が閉店しているという。

こうした中、商売が立ちいかなくならないように、飲食店経営を総合的に支援する事業に軸足を移してきた。厨房機器の取り扱いにとどまらず、店舗設計や内装工事、店舗用不動産の紹介、リース・クレジット事業など開業支援サービスの充実に努めてきた。2017年には、飲食店の採用難への対応を目的に、人材派遣のディースパーク(大阪市)を子会社化した。

その名も「Dr.テンポス(ドクターテンポス)」。テンポスグループが飲食店の「専門医」として顧客の病気治療(集客、販促、教育などの改善措置)や、終末医療(閉店支援)を担うというものだ。一連の取り組みを通じて、「飲食店の5年後の生存率45%を90%にする」を目指している。

実は、テンポス自身が「あさくま」などの飲食店を経営するのもその一環をなす。飲食店の立て直しや事業拡張などの経験・ノウハウを身に付けることで、厨房機器販売の顧客である中堅飲食店に対するコンサルタント業務に生かす狙いがある。

もちろん、今回のヤマト買収は飲食事業自体の拡大にも大きく寄与する。飲食事業では年商500億円規模を目指しており、今後、外食関連で大型M&Aが飛び出す可能性がある。

「ステーキのあさくま」(千葉県船橋市の店舗)

「Dr.テンポス」加速へ店舗を倍増

テンポスHDの屋台骨を支える物販事業では厨房機器をはじめ、業務用家具、食器、消耗品、販促用品など飲食店開業に必要なものをフルラインで取り扱う。現在全国に63店舗を展開する。5年後をめどに120店舗体制に倍増する計画だ。

これらの実店舗は飲食店経営を支援する「Dr.テンポス」の最前線基地を担う。店舗に配置する“ドクター”の養成に力を入れている。

昨年5月には飲食店の販促・経営支援に関し、ぐるなびと業務提携。ぐるなび出向社員で構成する外販部隊による営業活動もスタートした。飲食店の閉店案件があれば、ぐるなび出向社員と店舗再生を進めたうえで、売却もしくは自社店舗として買収する方針だ。

2014年にはLIXIL傘下で業務用厨房機器販売のサンウエーブテクノキッチン(現キッチンテクノ、東京都新宿区)を子会社化し、大手飲食チェーン、スーパーに対する直販営業体制を整えた。近年は「テンポスドットコム」による厨房機器のインターネット販売も伸びている。

テンポスHDは中長期目標として「1000億円企業」を掲げる。具体的な時期は明示していないが、その道程でM&Aが重要なカギとなることは間違いない。

◎テンポスHDの歩み

主な出来事
1992 高齢者の能力開発研修などを目的に「矍鑠」として設立
1997 テンポスバスターズに社名を変更し、中古厨房機器販売に乗り出す
2002 株式を店頭登録(2004年ジャスダック市場に上場)
2011 ステーキレストラン運営のあさくまを子会社化
2014 厨房機器販売のサンウエーブキッチンテクノ(現キッチンテクノ)を子会社化
2017 持ち株会社制に移行し、テンポスホールディングスを発足
人材派遣業のディースパーク(大阪市)を子会社化
2018 中古厨房機器買い取り・修理のウエスト厨機(札幌市)を子会社化
2019 子会社のあさくまが東証ジャスダック(現東証スタンダード)に上場
2022 市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場に移行
2023 9月、回転ずし・海鮮居酒屋など運営のヤマト(千葉県鴨川市)を子会社化へ

文:M&A Online

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