「BAKE」を買収した投資ファンド「ポラリス・キャピタル」とは

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BAKEは2017年に買収

BAKEに20億円を追加出資

ポラリスは2017年8月にチーズタルトショップを展開するBAKE(港区)を100億円で買収しました。この案件が興味深いのは、BAKEが2013年に創業したばかりのスタートアップ企業だったことです。

通常、PEファンドは企業の安定期・成熟期に買収します。安定的な事業の継続や成長が見込め、キャッシュフローをあてにしたLBOローンも組みやすいためです。

スタートアップはベンチャーキャピタルから1,000万円~数億円の出資を段階的に受けるのが定石。その常識を破って100億円という思い切った投資を実行しました。その背景として、BAKEのチーズタルトが年間1,000万個を売る人気商品だったことや、創業からわずか2年で香港に出店するなど、経営者に強い熱意があったためと考えられます。

スタートアップは先行投資で創業当初は赤字になりがちです。BAKEもそれは同じでした。

■BAKE業績推移(単位:百万円)

2018年6月期 2019年6月期
純利益 △2,058 △1,286

決算公告より筆者作成

2019年6月末に固定負債が115億1,600万円、純資産が36億6,600万円となりました。自己資本比率は26.0%から21.0%まで低下しており、更なる赤字で10%台が視野に入ります。ここでのポイントは、BAKEが金融機関からLBOローンの融資を受けていること。ベンチャーキャピタルからの出資と異なり、経営状態の悪化が早期返還請求にも繋がりかねません。

そのタイミングで新型コロナウイルスが襲い掛かってきました。

BAKEの店舗は繁華街の商業施設やターミナル駅の中が中心です。施設の営業時間短縮や、リモートワーク推進による外出自粛の影響を真正面から受けます。2020年に入ってイクスピアリや新宿ルミネエスト、川崎アトレ、名古屋mozoなどの店舗を次々と閉店しました。20億円の追加出資を受けましたが、自己資本に厚みをつけて不採算店を閉め、業態転換や新規出店、またはECなどの新たな事業展開に向けて準備を進めているものと考えられます。

BAKEは、2019年からスターバックスにタルトを提供するようになりました。新たな流通チャンネルを設けて卸売事業を開始したのです。コロナ禍、緊急事態宣言という極めて特殊な状況下では、高額な家賃・テナント料と人件費が発生する固定費型のビジネスよりも、卸売のような変動費型が圧倒的に有利です。コロナ前に絶妙なかじ取りをしていたといえます。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。 ブログはこちら 「ビールを飲む理由」 


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