いきなりの「菅首相退陣」で、私たちの生活と経済はこう変わる

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②新型コロナワクチン接種

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種促進は国民の関心も非常に高く、誰が首相に就任しても変わらない。菅首相同様に積極的な接種を進めるはずだ。当面は現在47.1%(2回接種)のワクチン接種率引き上げが急務だが、「デルタ株」の感染拡大により接種から半年後を目安とする3回目の「ブースター接種」も始めなくてはならなくなった。

そうなると1・2回目の初回接種と3回目のブースター接種の時期が、年末から年明けにかけて重なる。日本を含む北半球では新型コロナ感染の勢いが増す冬季に当り、またも感染拡大の波が襲来する可能性が高い。ワクチン接種は一部を除き先着順なので、初回接種はブースター接種が本格化する11月までに、ブースター接種は受付開始と同時に申し込んでおく方が無難だろう。

「ラムダ株」や「ミュー株」といった新たな変異株がデルタ株以上にワクチンの持続性を下げたり、重症化リスクが高いと判明したりすれば、すでに2回目の接種を終えている人たちが一刻も早くブースター接種を受けようと申し込みが殺到する。今年も開設当初はがら空きだった集団接種会場が、デルタ株の感染拡大が伝わると予約が瞬時に埋まる状況になった。「ワクチン難民」にならないためにも、早目の予約を心がけたい。

開設当初は余裕があった大規模接種会場も、デルタ株の流行で予約が困難に

③中小企業M&A

菅首相は国内産業の国際競争力が低迷している理由として、中小企業の生産性の低さを問題視していた。首相はブレーンの1人で、政府の成長戦略会議のメンバーになっているデービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長が主張する「中小企業再編論」に乗って、中小企業のM&A促進政策に舵を切る。

4月28日には中小企業庁が中小企業の経営資源集約化を推進するため、今後5年間に実施すべき官民の取り組みを「中小M&A推進計画」を取りまとめた。

しかし菅首相の退陣で、こうした動きにもブレーキがかかりそうだ。自民党総裁選の立候補予定者で、中小企業政策に強い関心を持っている議員はいない。選挙区において、中小企業経営者は自民党議員の有力な支持者ではある。が、M&Aに否定的な経営者も少なくない。

菅首相の中小M&A促進策はマスメディアで「コロナ禍に便乗した中小企業潰し」と批判され、中小企業の利益団体である日本商工会議所の三村明夫会頭も「生産性の低さは中小企業だけではなく、大企業も含めた日本経済全体の課題」と、菅首相とアトキンソン社長の「中小企業再編論」に反論した。総裁選候補者は自身の有力支持者である中小企業経営者の機嫌を損ねかねない、中小企業のM&A促進に積極的に取り組もうとはしないだろう。

だが、菅首相の掲げた中小企業M&A促進政策が、直ちに見直されるわけではない。しばらくはM&A促進の流れが続くはずだ。中小企業M&Aを検討しているのなら、菅首相の政策が間違いなく継続される2022年度中(2023年3月まで)に交渉をまとめておくべきだ。菅首相が残してしてくれた「千載一遇」のチャンスを逃さぬよう、迅速にM&Aを進めておきたい。

文:M&A Online編集部

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