本店移転のきっかけとなったのは、2018年7月に発生した「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」。呉市内の天応工場(現 広島工場)にトラック200台分もの土砂が流れ込み、約3週間にわたって操業を停止するなど大きな被害を受けた。被災した広島工場の改修工事を機に、本店を呉に戻すことにしたという。
改修工事では床を地面より75cm高くするなどの水害対策を施し、12棟あった工場建屋を1つにまとめて横から見ると船のようなデザインにしている。同工場では主に1万円以上の高級万年筆の生産量を30%増やす計画だ。
本店移転により、「地元の大企業」として優秀な従業員の採用促進につなげると同時に、広島県や呉市との協業を図ることで「広島ブランド」としてアピールする狙いがあった。広島サミットでの記念品に選ばれたことで、早くも「広島ブランド」化の効果はあったようだ。
ちなみにどの万年筆が記念品になるのかは明らかにされていないが、同社製品で最も高い「木軸黒檀加賀高蒔絵万年筆(吉野山)」は121万円(税込)だ。
文:M&A Online