感染者が相次いで競技が成り立たない事態となれば話は別だが、競技に支障がない限りIOCも途中打ち切りは許さない。「緊急事態宣言下での五輪開催」で批判を浴びる菅政権が打てる唯一の手段は、8月24日に開幕する東京パラリンピックの中止だ。
パラリンピックは主催団体がIOCとは別組織の国際パラリンピック委員会(IPC)で、政治的な影響力は弱い。広告スポンサーは存在するがオリンピックのような巨額の放映権料は発生しないため、中止の障壁も低いだろう。
東京パラリンピックについては、無観客にするかどうかの判断が8月8日の五輪閉幕後に持ち越されている。コロナ「第5波」の感染拡大が8月上旬まで続けば、無観客を飛び越えて中止の判断も十分にありそうだ。
菅政権としては感染拡大が続く中で、五輪よりも国民の注目度が低く、メダル数が支持率に結びつきにくいパラリンピックを強行して、世論のさらなる反発を招くのは避けたいのが本音。政府が東京パラリンピックの中止に踏み切ることで、「国民の安心・安全が第一」をアピールする可能性も十分にある。
文:M&A Online編集部
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