ツイッター、マスク氏を提訴 買収契約の履行要求
[ウィルミントン(米デラウェア州) 12日 ロイター] - 米ツイッターは12日、電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が総額440億ドルの買収契約を解除したのは不当として、デラウェア州の裁判所に提訴した。合意した価格で買収実行を命じるよう裁判所に求めた。
ツイッターは訴状で、マスク氏による「多数の」契約違反があり、「ツイッターおよびその事業に暗い影を落とした」と主張。「気が変わったからツイッターを捨て、事業の混乱を招き、株主価値を破壊してその場から立ち去っても問題ない」とマスク氏は考えているようだが、同州の契約法ではそれは認められないなどと非難した。
世界長者番付の常連で、ソーシャルメディア上でも影響力を持つマスク氏を相手取った今回の訴訟は、米ウォール街史上最も注目される法廷闘争の一つになりそうで、契約の文言が争点になる。
マスク氏は8日、複数の合意条項に重大な違反があったとして、ツイッター買収を撤回すると発表した。プラットフォーム上の偽アカウントやスパムアカウントに関する情報提供に同社が応じなかったとしている。
同氏はまた、幹部社員が離職したことは通常の業務遂行ができないことを意味するとも主張したが、ツイッターは交渉の過程で買収契約からこの文言を削除したとしている。
ツイッターはスパムアカウントに関するより多くの情報をマスク氏と共有しなかった理由について、同氏が買収撤回後に競合プラットフォームを立ち上げる懸念があったためと説明した。
マスク氏は提訴に関してコメントの要請に応じていない。
ツイッターの株価は12日の取引を4.3%高の34.06ドルで終了。同社取締役会が4月下旬にマスク氏の買収案に合意した時点では50ドルを超えていたが、それを大きく下回っている。
ツイッターは裁判所に対し、9月半ばに4日間審理を開くよう求めた。
同社はマスク氏が買収撤回で挙げた理由は裏付けのない「口実」だとし、撤回の決定はハイテク株をはじめとする株式相場の下落に大きく関係しているとした。
マスク氏の資産の主要部分を占めるテスラ株は買収発表以降に約30%下落している。
ボストン・カレッジ法科大学院のブライアン・クイン教授は「ツイッターは、マスク氏が買い手の後悔の念に駆られており、ボット(偽アカウント)ではなくその後悔が買収撤回の理由だという強い立場を取っている」とし、「同社が提示している事実は取引実行を支持する極めて強い論拠となる」と述べた。