光と希、二人の成長ストーリーが主軸だが、彼女達を見守る水木の存在が映画に深みを与える。水木もかつては起業家だったが、今は光をはじめ若い起業家をサポートしている。
他者と協調できず、プロジェクトメンバーから外されてショックを受ける光を見て、希が水木に問いかける。このプロジェクトは、光と水木が共に立ち上げたものではないのか、と。すると水木は、昔より今の方が起業がしやすいこと、だからこそ一つの事業だけではなく継続的に続けていくためのサポートが必要なのだと穏やかに諭す。
水木はかつて、立ち上げた事業を高値で売却したという。その理由はパートナーを信じきることができなかったから。水木は「光さんを信じてあげてください。彼女は台風のようなものなんです。」そう希に思いを託す。光と希の心が近づいたり離れたりしながら程よい距離を保つのに、一役も二役も買っている水木。光とは違ったタイプの天才ではあるのだが、思わず共感する人も多いのではないだろうか。
光と希の事業に不可欠なものが、ある団体の持っているデータだ。資料を手に足を運んで一生懸命に説明しても、なかなか頷いてくれない団体代表者に、希は気ばかり焦り煮詰まってしまう。
仕事に夢中になりすぎて食べる事を忘れ、倒れてしまった光の家にかけつけた希は、あるものを見つける。そこに書かれていたことが希の意識を変え、団体代表者の心を動かす瞬間に、人の思いは人の心を動かすのだ、と胸がいっぱいになる。
そして、希の勝ち取った手堅いデータを裏付けに、光が渾身の思いでするプレゼンは思わず涙ぐむほどすばらしい。自分にはないものを持つ、正反対な二人だからこそできる連携プレー。いつものスナックで、素直になれず憎まれ口をたたく光に希が、感謝したのに何よ「今のおじぎ返してよ!」とむくれると光が「ん。」とおじぎを“返し”て感謝の意を伝えてみせる。そんなやり取りが映画の各所に散りばめられていて、微笑ましい。
光のぶっ飛んだ思考には理解が追いつかないし、希ほどの手堅さはそうそう持てるものではない。でも一方で、どちらか片方と言うよりも両極端の二人だからこそ、観る人は大小少なからず自分と近しい部分を見出すだろう。二人の懸命な姿を見て思わず、自分自身にもエールを送りたくなるに違いない。
光、がんばれ!希、がんばれ!そして、がんばれ、自分!
思い通りにいかないことの方が多いけれど、自分らしく生きるため人は誰でも新たな一歩を踏み出すことができる。大丈夫、ここからだ!! 目の前がキラキラと輝いた気がした。

文:宮﨑 千尋(映画ライター)
《作品データ》
映画『スタートアップ・ガールズ』(公式HPはこちら)
9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次ロードショー
出演:上白石萌音 山崎紘菜 大西礼芳 長田侑子 沖田裕樹 三河悠冴 渡辺真起子 宮川一朗太 神保悟志 山本耕史
監督:池田千尋
脚本:髙橋泉
音楽:MAYDENFIELD 井上陽介 (Turntable Films)
音楽プロデューサー:小川克久
主題歌:『スリープ』Performed by ASIAN KUNG-FU GENERATION
挿入歌:『スリープ(Covered by XAI)』Performed by XAI
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