「スタートアップ」「起業」に興味があったらこれを観よう!

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©2018 KM-WWORKS Ltd., All rights reserved.

日本初“スタートアップ”を題材とした映画が誕生!

スタートアップとは、”今までに無いビジネスを起こし世の中を変える事。”(映画『スタートアップ・ガールズ』パンフレットより)

型破りで天才肌の大学生起業家・小松 光(上白石 萌音)と堅物なザ・常識人の大企業OL・南堀 希(山崎 紘菜)。性格も服の趣味も何もかもが真逆な二人が出会いビジネスパートナーとなる時、新たな世界の扉が開く。国内でも注目が高まる“スタートアップ”をテーマにした映画が誕生した。

W主演の上白石と山崎は本作が初共演。同じ年の東宝シンデレラオーディションで同じ審査員特別賞を受賞した互いを、戦友のような存在だと言う二人。“いつかお芝居を一緒に”という夢が叶った。

『スタートアップ・ガールズ』のあらすじ

大企業に勤め起業家へ投資をする部署で働く希は、起業家に苦手意識を持っている。父親が事業に繰り返し失敗し、学生だった希を残して死んでしまったからだ。上司の勧めで渋々ながら出かけた投資家や起業家らとの交流会で出会った水木(山本 耕史)は、希が面談した大学生起業家・光をサポートしているという。希の常識をことごとくぶち壊し、最悪な印象を与えた光だったが、起業家としては天才的でITと医学をかけ合わせた斬新な取り組みを進めていた。

水木の計らいで、光と希はプロジェクトを協力して進めることになる。身勝手な光の言動に振り回され思い悩む希、結果プロジェクトは手を離れる。しかし、行きつけのスナックの保育士をきっかけに、ITと保育をかけ合わせた新たな“スタートアップ”を二人で立ち上げることに。時にぶつかり時に笑い合いながら一緒に働く内に、光が裏切られることを極度に怖がっていることが明らかになる。

『スタートアップ・ガールズ』のみどころ

“スタートアップ”とは何か・・・がわかる

 “スタートアップ”というと、言葉すらあまり聞いたことがない、という人もまだまだ多いのではないだろうか。かく言う私も“スタートアップ”って・・・何?と本作を観るまでは、ほぼ何も知らなかった。

冒頭は、数人の男女が次々と“スタートアップ”について語る動画からはじまる。起業は面倒くさくて、しんどくて、怖い。でも“スタートアップ”してよかった! そう目を輝かせる人達のインタビューだ。

わくわくと高まるその気持ちを表すかのように、よっしゃー! と光が腕を掲げ飛び跳ね会社に駆け込んでいく。そこには希がいて、二人が直面する喜びや葛藤や不安・・・物語が進むにつれて“スタートアップ”のことも少しずつわかってくる。

起業家サポーターそして人生の先輩である水木の願い

光と希、二人の成長ストーリーが主軸だが、彼女達を見守る水木の存在が映画に深みを与える。水木もかつては起業家だったが、今は光をはじめ若い起業家をサポートしている。

他者と協調できず、プロジェクトメンバーから外されてショックを受ける光を見て、希が水木に問いかける。このプロジェクトは、光と水木が共に立ち上げたものではないのか、と。すると水木は、昔より今の方が起業がしやすいこと、だからこそ一つの事業だけではなく継続的に続けていくためのサポートが必要なのだと穏やかに諭す。

水木はかつて、立ち上げた事業を高値で売却したという。その理由はパートナーを信じきることができなかったから。水木は「光さんを信じてあげてください。彼女は台風のようなものなんです。」そう希に思いを託す。光と希の心が近づいたり離れたりしながら程よい距離を保つのに、一役も二役も買っている水木。光とは違ったタイプの天才ではあるのだが、思わず共感する人も多いのではないだろうか。

正反対な二人だからこそ最強の連携プレーが生まれる

光と希の事業に不可欠なものが、ある団体の持っているデータだ。資料を手に足を運んで一生懸命に説明しても、なかなか頷いてくれない団体代表者に、希は気ばかり焦り煮詰まってしまう。

仕事に夢中になりすぎて食べる事を忘れ、倒れてしまった光の家にかけつけた希は、あるものを見つける。そこに書かれていたことが希の意識を変え、団体代表者の心を動かす瞬間に、人の思いは人の心を動かすのだ、と胸がいっぱいになる。

そして、希の勝ち取った手堅いデータを裏付けに、光が渾身の思いでするプレゼンは思わず涙ぐむほどすばらしい。自分にはないものを持つ、正反対な二人だからこそできる連携プレー。いつものスナックで、素直になれず憎まれ口をたたく光に希が、感謝したのに何よ「今のおじぎ返してよ!」とむくれると光が「ん。」とおじぎを“返し”て感謝の意を伝えてみせる。そんなやり取りが映画の各所に散りばめられていて、微笑ましい。

光のぶっ飛んだ思考には理解が追いつかないし、希ほどの手堅さはそうそう持てるものではない。でも一方で、どちらか片方と言うよりも両極端の二人だからこそ、観る人は大小少なからず自分と近しい部分を見出すだろう。二人の懸命な姿を見て思わず、自分自身にもエールを送りたくなるに違いない。

光、がんばれ!希、がんばれ!そして、がんばれ、自分!

思い通りにいかないことの方が多いけれど、自分らしく生きるため人は誰でも新たな一歩を踏み出すことができる。大丈夫、ここからだ!! 目の前がキラキラと輝いた気がした。

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文:宮﨑 千尋(映画ライター)

《作品データ》
映画『スタートアップ・ガールズ』(公式HPはこちら
9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次ロードショー
出演:上白石萌音 山崎紘菜 大西礼芳 長田侑子 沖田裕樹 三河悠冴 渡辺真起子 宮川一朗太 神保悟志 山本耕史
監督:池田千尋
脚本:髙橋泉
音楽:MAYDENFIELD 井上陽介 (Turntable Films)
音楽プロデューサー:小川克久
主題歌:『スリープ』Performed by ASIAN KUNG-FU GENERATION
挿入歌:『スリープ(Covered by XAI)』Performed by XAI