NEXT STORY
ユニゾン・キャピタルが出資していた居酒屋「鳥二郎」のダイナミクスが倒産
居酒屋やお好み焼き店を運営していたダイナミクスが2月27日に東京地裁に自己破産を申請しました。負債総額は106億7,800万円。この会社はもともと秀インターワンという会社で、人気店の看板を模倣しているなどとして、鳥貴族や物語コーポレーションから訴訟を起こされていました。
2022年6月にいわかぜキャピタル(東京都港区)が、WAQ(大阪市)の株式70%を取得しました。WAQはアウトドア用品の企画・販売を行う会社で、野外でも快適に眠れるコット(簡易ベッド)がキャンパーに支持されています。
いわかぜキャピタルは、首都圏に焼肉店を展開する新和(東京都北区)や、「オリオン餃子」などを運営するダイニングファクトリー(栃木県宇都宮市)など、コロナ禍を迎える前は外食企業への投資を強めていましたが、最近ではヘアサロンチェーンなどへと方向性を転換しています。
いわかぜキャピタルの名を世間に広めたのが、2008年9月にアニメーション制作会社ゴンゾ(東京都杉並区)に出資をし、2016年7月にアサツーディ・ケイ(現:ADKホールディングス)に売却した案件です。
この記事では以下の情報が得られます。
・いわかぜキャピタルの投資先一覧
・ゴンゾのM&Aの詳細
いわかぜキャピタルは、2008年2月に設立されたPEファンド。2008年9月に1号ファンド「いわかぜ1号投資事業有限責任組合組成」を立ち上げました。2017年7月に2号ファンド「いわかぜ2号投資事業有限責任組合」を組成。新和やダイニングファクトリーへの出資を行っています。2021年9月に3号ファンド「いわかぜ3号投資事業有限責任組合」を立ち上げました。WAQは3号ファンドの案件です。
1号ファンドはゴンゾと、金型エンジニアリングのエイムス(さいたま市)の2社に出資をしました。このファンドは管理報酬を含むLPの投資総額に対して2.44倍のリターンを出し、8年間を通した年率平均リターン(IRR)は12.78%となりました。
「いわかぜ」の名前の由来は力士の岩風角太郎。岩風は小柄で機敏な動きを得意とし、粘り強い相撲で人気力士となりました。スピード感のある投資活動、粘り強い精神を大切にするとの思いが込められています。
代表取締役社長の植田兼司氏は、1974年に関西学院大学経済学部卒業後、東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)に入社し、資産運用業務に携わりました。1999年にハゲタカファンドとして名高いリップルウッド・ホールディングス(ニューヨーク州)に移籍しました。リップルウッドは日本長期信用銀行(現:SBI新生銀行)、日本コロムビア(東京都港区)、フェニックスリゾート(宮崎市)、日本テレコム(後にソフトバンクに吸収合併)などの再生案件を数多く手がけています。
植田兼司氏はリップルウッドでマネージング・ディレクターなどとしてM&Aを手がけました。2005年5月には日本法人RHJインターナショナル・ジャパンの代表取締役を務めています。なお、リップルウッドは2013年に日本から撤退しています。
植田氏は自身が執筆するコラムの中で、ソーシング(案件探し)において以下のような考えを述べています。
「売上高、企業価値、営業利益、EBITDA(償却前営業利益)、EBITDA Multiple(企業価値の EBITDA に対する倍率)、事業内容、株価推移、大株主、役員構成・年齢、取引銀行、株価推移など 15~16 の定量・定性指標からスクリーニングし、最終的に「その会社に興味があるか」と「その会社は売りに出る可能性があるか」の二つを満たす会社を対象企業として選び出す。」(「不透明な金融情勢下での Private Equity Fund の戦略と実務」より抜粋した文章を一部変更)
また、ディールを進める上で重要なのは「時間をかけないこと」と「関係者を増やさないこと」であるとし、仲介者は基本的に使わないとしています。
投資先は以下の通りです。
■投資先一覧
会社名 | 事業内容 | 投資時期 | エグジット |
Oasis Garden | 直営店13店舗、FC店舗8店舗(2022年4月現在)のヘアサロンチェーンを展開 | 2022年4月 | - |
WAQ | キャンプ用品の企画・販売 | 2022年6月 | - |
新和 | 「Aging Beef」のブランドで熟成黒毛和牛の焼肉店等を首都圏を中心に16店舗運営 | 2017年9月 | - |
ダイニングファクトリー | 栃木県宇都宮市を拠点に、複数の業態(オリオン餃子、焼肉モンスター、鳥放題、CAFETORA、九州男児等)で北関東、首都圏、東北地方を中心に展開 | 2018年11月 | - |
テキサスハンズ | 福井県を中心に北陸地方や滋賀県で20数店舗を運営するカジュアルタイプの手作りピザ専門店 | 2019年6月 | - |
東北建設企画 | 宮城県仙台市を拠点に北海道から北関東までを主な営業エリアとするの大規模修繕請負会社 | 2020年7月 | - |
保安道路企画 | 横浜を拠点に道路保安用品の開発・製造・販売・リースなどを手がける | 2020年12月 | - |
セブンシックス | 最先端レーザー機器の輸出入販売 | 2021年3月 | - |
ゴンゾ | アニメのプロデュース・制作スタジオ | 2008年10月 | 済 |
エイムス | 自動車ボディーの金型エンジニアリング会社 | 2008年11月 | 済 |
※公式ホームページより筆者作成
居酒屋やお好み焼き店を運営していたダイナミクスが2月27日に東京地裁に自己破産を申請しました。負債総額は106億7,800万円。この会社はもともと秀インターワンという会社で、人気店の看板を模倣しているなどとして、鳥貴族や物語コーポレーションから訴訟を起こされていました。