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【中小企業・事業承継】資産(建物)を法人に移転する際の信託受益権の組成

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※画像はイメージです

2.不動産を法人に移すのであれば譲渡じゃダメなのか?

不動産を法人に移転する際に普通は譲渡(売買)を想定されると思います。「譲渡じゃダメなんですか? 信託じゃないといけないんですか?(By某議員)」という声も聞こえてきそうですが、そんなことはありません。譲渡でもいいんです!

しかし下記の理由で当社は自己信託をお勧めしています。

信託受益権の譲渡の場合、建物の名義は現所有者個人Aに残ります。一方、収益権、財産処分権は法人Bに移転します。つまり賃料収入と処分権(売却代金)は法人に移転することになります。要は、名義以外がすべて法人に移ることになります。個人に残るのは名義だけなので、税務的には実質所有者の原則により法人Bが取得したものとされます。

しかし、登記名義は個人Aのままになりますので、形式は売買ではありません。そのため現行法の規定では"不動産取得税“はかからない、登録免許税は1/4ということになります。ですので1億円の固定資産評価額の物件を移転した場合、譲渡の場合には480万円の税額→信託の場合には40万円の税額となり大幅な流通税の節約ができることになります。

なお、土地はという声が聞こえそうですが、土地は先祖代々の土地などであれば取得費が5%とみなされ、多額の譲渡所得税が課税されます。また、借地(土地)の地代はあまり多額でない=収益性が低いので土地は借地として取り扱い譲渡しないケースも多いです。

信託銀行を使わない自己信託スキームなので多額の費用も必要ありません。売買よりも登録免許税や不動産取得税が1/5~1/7とコストも安くなります!

本記事は、 メルマガ「ビジネス・ブレイン通信」より転載しております。

畑中 孝介 (はたなか・たかゆき)

ビジネス・ブレイン税理士事務所 所長・税理士

1974年北海道生まれ。横浜国立大学経営学部会計情報学科卒業。 企業の連結納税や組織再編に関する知見を持ち、上場企業の子会社から中小企業・公益法人・独立行政法人・ファンドまで幅広い企業の税務会計顧問業務を行う。また、近年では種類株や信託、持株会社を活用した事業承継戦略の立案に注力している。戦略的税務・事業承継・税制改正などに関するセミナーや、「旬刊・経理情報」「税務弘報」「日刊工業新聞」「日経産業新聞」「銀行実務」など新聞・雑誌への執筆も精力的に行っている。


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