日本市場でも存在感を示すKKR

投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、今年に入って日本市場でのTOBを立て続けに成立させている。2017年3月、KKRは日産自動車傘下の自動車部品メーカーであるカルソニックカンセイに対して公開買付を実施した。TOBは滞りなく成立し、約4,700億円で普通株式の95.21%を取得した。最終的に完全子会社化のための手続が完了し、カルソニックカンセイは2017年5月8日付で上場廃止になっている。

同じく3月、KKRは日立グループの電動工具メーカーである日立工機<6581>に対するTOBを実施。約51%(議決権ベース)の同社株を保有していた日立製作所も全株式の売却に応じ、90%以上の株式を取得した。KKRは6月中を目途に日立工機の完全子会社化を目指している。株式併合などの手続が予定通りに進めば、7月24日付で上場廃止となる見込みだ。公開買付、日立製作所からの取得、完全子会社化を含めた買収総額は1,500億円程度と想定される。

KKRの主な売買事例

2010年6月 インテリジェンス株式の取得
2013年3月 インテリジェンス株式をテンプホールディングスへ売却
2014年3月 パナソニックヘルスケア株式の取得
2015年3月 Pioneer DJ株式の取得
2017年3月 カルソニックカンセイ株式の取得
2017年3月 日立工機株式の取得

M&A市場における投資ファンドの動き

近年のM&A市場において投資ファンドは「売り手」としても「買い手」としても重要な役割を果たしている。上記の例では、MBKパートナーズはコメダ株の「売り手」、エンデバー・ユナイテッドは日本ピザハット株の「買い手」、KKRはカルソニックカンセイ株および日立工機株の「買い手」となっている。

日本のM&A市場で活躍している投資ファンドは国籍も多彩だ。エンデバー・ユナイテッドやその母体のフェニックス・キャピタルは和製の独立系ファンドという特徴を持つ。これに対して、KKRはLBO(レバレッジド・バイアウト)に定評のある米国の投資ファンドだ。KKRも含め、特に大型のM&Aでは資金力のある米国や欧州のファンドが活躍する場面が多いといえる。

日本、欧米に対する第三極として、MBKパートナーズは香港、韓国、東京などを拠点にしたアジア系投資ファンドと位置付けることができるかもしれない。もっとも、MBKパートナーズは米国の大手投資ファンドであるカーライル・グループ出身者が立ち上げたという経緯があるため、純正なアジア系とはいえない面もある。

ただし、2017年5月、日産自動車が車載用電池子会社のAESC(オートモーティブエナジーサプライ)を中国系投資ファンドGSRに1,100億円で売却する方向で調整に入っているとの報道があった。今後、この例のように「第三極」が日本市場で存在感を増してくる可能性は十分にある。

まとめに代えて

同一の投資先に対して「買い手」と「売り手」を繰り返す。そのような「離れ技」が見られるのは、事業会社によるM&Aでなく、投資ファンドによるM&Aならではということができるだろう。

まとめ:M&A Online編集部