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麺類大手の「トリドール」「サガミ」「グルメ杵屋」回復の足取りにバラつきが。一番苦しんでいるのは?
麺類大手のトリドールホールディングス、サガミホールディングス、グルメ杵屋の3社の間で、コロナ禍からの回復の足取りにバラつきが生じている。何が要因なのか。
コロナ禍の不振を一気に取り戻す絶好の機会に水を差すのが深刻な人手不足だ。厚生労働省が2023年4月28日に公表した同3月の有効求人倍率は1.32倍だが、「飲食物調理」は2.92倍「接客・給仕」は3.29倍と大幅に高い。
一般に有効求人倍率が1.5倍を上回ると企業の人手不足感が深刻になると言われており、およそ3倍の外食業界では「募集をかけても全く人が集まらない」状況と言えるだろう。
コロナ禍で大量解雇した外食企業も多く、業界全体で働き手に不信感を持たれている影響は大きい。そのため給与を引き上げても、新規採用の増加は期待できない状況にある。「接客・給仕」の担い手である学生アルバイトも、少子化で細る一方だ。
外食産業が人手不足を解消する対策として注目されているのがM&A。同業者を買収することで働き手を確保する「人を買うM&A」と言える。買収した店舗を全て閉鎖し、近隣の自社店舗に店長とアルバイトをそっくり移す事例もあるという。
上場企業による国内外食産業の買収件数は5月半ばで8件に達し、年間だと21件となるハイペース。2021年1−12月の8件、2022年1-12月の10件を大きく上回る勢いだ。いずれも事業多角化や業容拡大を狙いとしているが、企業規模が大きくなれば人材の融通が利き、求人募集も増える。人手不足に苦しむ飲食業界で「人を買うM&A」が活発化するのは間違いなさそうだ。
文:M&A Online
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