九州の事業承継とスタートアップ支援を行う投資ファンド「ドーガン」とは

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九州大学発のバイオベンチャー企業ヘリオスに3億円を出資

IPOでのエグジットとなったのがバイオベンチャーのヘリオス<4593>です。2013年10月に2,000万円を出資し、総額3億円の投資を実行しました。ヘリオスは眼科手術用染色剤の開発、販売、iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の再生医療用との研究・開発を行う企業。九州大学の研究グループが発見したBBG250という染色性の高い色素を主成分とした眼科手術補助剤を、産学連携機構九州からの独占的ライセンス付与を受けて開発しています。

ヘリオスのCEO鍵本忠尚氏は、ドーガンのベンチャーキャピタル部門、ドーガン・ベータ(福岡市)の代表・林龍平氏と同じ九州大学出身で同級生でもあります。鍵本氏は九州大学医学部の眼科で研修を終え、2005年にヘリオスの前身となるバイオベンチャー企業アキュメンバイオファーマを設立しました。同時期に林氏がファンドを立ち上げ、1号案件を探していました。九州大学から誕生したバイオベンチャー企業と、九州企業の発展を目指すドーガンの投資方針が合致して出資が決まりました。

2015年6月にマザーズに上場し、公募価格1,200円に対して22.5%高い1,470円の初値をつけました。

ドーガンは多角的に事業を展開していることが最大の特徴で、投資対象はスタートアップや中小企業に留まりません。2021年9月からは老朽化したマンションのリノベーション事業を開始しました。福岡市内に本社を置く明治産業、Good不動産、ラプロスと提携し、「桜坂コーポ」の大規模改修工事を行いました。

【改修前と改修後の「桜坂コーポ」】

※「高経年化マンション再生プロジェクト・第1号物件  福岡市中央区「桜坂コーポ」の大規模改修工事が完成  高経年マンション問題に悩む方の相談窓口を設置」より

老朽化したマンションにおいては、所有者の高齢化や非居住化が進み、マンション再生が一部住民から望まれながらも合意形成ができないケースがあります。ドーガンは中小規模の分譲マンションの管理組合を対象に、再生に向けた支援を行います。Good不動産は保有区分建物を小口化し、再生したマンションに出資をする投資家を募ります。

国土交通省によると、旧耐震基準の分譲マンションは未だ100万戸以上存在し、適切な改修や修繕ができないまま放置されているといいます。その中には管理組合運営が困難な物件も多くあり、社会問題化が深刻です。ドーガンがイニシアティブを握ってリノベーションに向けたプロジェクトを動かすことにより、物件の価値が向上して新たな住人を迎え入れ、物件への出資者にも利回りが入るスキームを組むことができました。

ドーガンはマンションの老朽化、空き家問題解決に向けて動き出しました。

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