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『M&A思考が日本を強くする』|編集部おすすめの1冊

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数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては? 

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『M&A思考が日本を強くする JAPAN AS NO.1をもう一度』 渡部 恒郎 著 東洋経済新報社 刊

M&A仲介会社の執行役員によるM&A経済再生論だ。第1章で長期低迷する日本経済の立て直しにM&Aが必要と説き、第2章では日本が1970年代からスタートアップ大国であったことを振り返る。第3章では本業の情報力を駆使して、業界ごとのM&A動向を解説していく。

最後にサッカーJ3チームのFC今治を「買収」(持株比率51%)した岡田武史会長(元サッカー日本代表監督)の寄稿があるが、M&Aについて語っているわけではないので、あくまで「おまけ」だ。

M&A思考が日本を強くする

本書はテクニカルな「M&Aの指南書」ではない。それを期待して読むと、肩透かしをくうだろう。本書で展開されているのは国家レベルの「M&A政策論」であり、教育論や人口問題にもページを割いている。

業界別のM&A動向では買収・合併状況に留まらず、業界の動きや問題点を浮き彫りにしている。企業はいたずらな規模拡大や気まぐれではなく、ビジネス環境が変化しているからM&Aを選択するのだ。M&Aから業界の構造変化を探るという視点で読めば、激変する日本経済をより深く理解できるだろう。

とはいえ、決して堅苦しい本ではない。M&Aの重要性を訴えるために、国内のプロレスやプロ野球、プロサッカー、プロバスケットボールを比較。歴史の新しいプロスポーツほど買収が活発な状況を示すなど、経済やM&Aの専門知識がなくても理解しやすい内容になっている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う緊急事態宣言の延長により、中小企業の倒産や廃業が増加する懸念がある。M&Aによる「産業保護」が、政策として真剣に検討されるべきだろう。本書はその「参考書」になる1冊だ。(2020年4月発売)

文:M&A Online編集部

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