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『中小企業再建ドクター』|編集部おすすめの1冊

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数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては? 

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「中小企業再建ドクター」大和竜一著  山中企画刊

企業を買収したあと、どのように当該企業を運営していくのか。この点に重きを置かなかったために、買収した企業との相乗効果などが得られず、大きな損失をかかえたまま買収した企業を手放さなければならなくなったM&Aの失敗事例は数多くある。 

こうした失敗を回避するために行う買収した企業の事業の安定化や統合作業などをPMI(Post Merger Integration)といい、M&Aの失敗事例の増加とともに、このPMIに注目が集まってきた。 

特に中小企業のM&A、中でも業績の悪い中小企業のM&Aにおいては、PMIが極めて重要で、本書では何らかの問題やトラブルを抱える不健康な企業が事業の切り離しなどを行うM&Aを「外科手術」、手術後に健康を取り戻すために行う業績の安定化や向上などのPMIを「内科的治療」と表現する。 

著者は企業の状態や経営の効率化などを診断する「ドクター」を自称しており、銀行、ベンチャーキャピタル投資ファンドでの勤務や、ホテル、酒造会社の経営などを通じ20年以上にわたって企業の経営を安定化させる「再建ドクター」の仕事に携わってきた。 

この間に身に付いた中小企業の治療法や再建手法を、中小企業経営者をはじめ地域の金融機関関係者や、これらか起業したい人、投資家になりたい人たち向けにまとめたのが本書。 

中小企業再建ドクター

五章構成となっており、第一章では中小企業の健康診断に触れ、血流(現金の流れ)の安定化やメタボ対策(不採算事業の切り離し)、悪玉菌(抵抗勢力)の排除などの必要性を強調。第二章では具体的な企業再生事例を取り上げながらPMIの重要性を浮かび上がらせた。 

第三章では再建ドクターが使った治療法10カ条をテーマに、「入るを量りて出を制す」「小も大を制す」「『無駄なコスト削減』は厳禁」「『もったいない』は再建の邪魔」「最大の問題は、社長、あなたかもしれない」など10の治療法を紹介。 

さらに第四章では地方の再生に果たすM&Aの役割について、第五章では20年後の日本のための提言などをまとめた。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、業績悪化に直面する企業が相次いでいる今、M&AとPMIで企業再生を目指す本書は多くの中小企業の参考になりそうだ。(2020年3月発売)

文:M&A Online編集部

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