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プロ野球・球団買収「阪急ブレーブス勇者たちの記憶」

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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『阪急ブレーブス 勇者たちの記憶』 読売新聞阪神支局 (著) 中央公論新社(刊)

昭和から平成に時代が移ろうとしていた1988年、プロ野球パ・リーグにM&A(合併・買収)の嵐が吹き荒れた。バブル経済の最中、阪急ブレーブスと南海ホークスの2球団が身売りという最後を迎えた。阪急はオリックス、南海はダイエーに買収された。

ホークスの愛称は球団がソフトバンクに代わっても引き継がれているが、ブレーブスは途絶えた。オリックスはブルーウェーブを経て、近鉄との球団統合で2005年からバッファローズを愛称とする。本書は、球史に刻まれた「勇者」たちの記憶を30年の時を超えて鮮やかによみがえらせる。

帽子に「H」、胸に「Braves」の赤文字が躍るユニフォーム。阪急ブレーブスが常勝軍団の名をほしいままにしたのは昭和40年代から50年代半ばにかけて。パ・リーグを10度制し、日本一に3度輝いた。しかし、満を持して臨みながら、巨人の9連覇中、日本シリーズでは3年連続で敗れる苦杯をなめた。

阪急ブレーブス 勇者たちの記憶・読売新聞阪神支局 (著)

球界のお荷物とも言われた灰色球団を鍛え上げ、闘争心を植え付けた西本幸雄監督。盗塁王福本豊、不動の4番打者長池徳二、エース山田久志をはじめ、打倒巨人に燃えたガッツの塊のような選手たち。そして彼らを支えた情熱あふれる球団関係者(球団マネージャー、スコアラー、応援団長ら)。

本書に登場する一人ひとりがかつて本拠地・西宮球場(跡地は大型ショッピングセンターとして再開発)を舞台に胸を躍らせた日々を昨日のことのように語る。

選手ではほかに、ベネズエラ出身の外国人内野手マルカーノ、不屈の右腕・足立光宏、代打の神様・高井保弘、いぶし銀のつなぎ役・大熊忠義を取り上げている。オールドファンには懐かしい個性派プレーヤーだ。

昭和44(1969)年の同期入団者から山田(ドラフト1位)、福本(7位)、加藤秀司(2位)の3選手が「名球会」入りを果たす偉業を打ち立てた。もう一つ付け加えれば、通算250勝以上をマークした投手を3人輩出した球団は阪急ブレーブスだけ(米田哲也350勝、梶本隆夫254勝、山田284勝)。

本書は、読売新聞の兵庫県内版に約3年間、322回にわたって掲載された同名の連載に加筆して単行本とした。往時を知るファンだけでなく、令和の新世代に薦めたい一冊。プロ野球を見る目が変わるかもしれない。(2019年9月発売)

文:M&A Online編集部

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