ファンドを活用する事業承継  − 更なる成長を目指して 
西野貴司 (著)・産経新聞出版

事業承継の手法として注目を集めているM&A。問題は「どうやって会社を譲渡するか」だ。ほとんどの中小企業のオーナーにとっては、「どのように譲渡すればいいのか、全く分からない」というのが本音ではなかろうか。

本書ではプライベート・エクイティ・ファンド(以下、ファンド)への企業譲渡による事業承継について、分かりやすく説明している。一般に中小企業のM&Aでは取引のある公認会計士や税理士、金融機関、M&A仲介業者などに譲渡先を紹介してもらうケースが多いが、同書はファンドを活用した事業譲渡を推奨する。なぜか。

ファンドを活用する事業承継

それはファンドがM&Aの売買手数料で儲けるのではなく、自社で企業を買い取り、事業を成長させた上で「配当などの利益を得る」か「他社へ譲渡して売却益を得る」かのいずれかだからだ。

手数料ビジネスであれば「売ってお終い」だが、企業価値の向上分が利益となるファンドビジネスでは「成長なくして利益なし」。つまり中小企業にとっては「事業譲渡後にしっかりと面倒をみてもらえる」わけだ。

「1円でも高く売れれば、あとは会社がどうなっても構わない」というオーナー経営者であれば、事業譲渡後の成長には何の関心もないだろう。が、日本の中小企業経営者の多くは、取引先や従業員、地域のことを考え、長期的な安定成長につながる事業承継を望む。

そうしたオーナー経営者にとって、ファンドを利用する事業承継は魅力的な選択肢になるだろう。

前半は事業承継の難しさを指摘し、ファンドとは何かについて簡単に説明した「理論パート」、後半はファンドを利用したM&Aの具体的な進め方や具体的な事業譲渡事例、Q&A(一問一答)などの「実践パート」に分かれる。

最初から最後までじっくり読み進めるのもよし、前半または後半のみで「理論」や「実践」に特化した読み方をするもよし、だ。

文:M&A Online編集部